ギター好きなら一度は夢見る「バースト」こと、1959年製のギブソン・レスポール・スタンダード。
ネットで「ギブソン レスポール 1959 最高額」と検索して、その値段の桁違いさに驚愕した経験はありませんか?
「なぜここまで高いのか?」「オークションでの実際の落札価格はいくらなのか?」そして「日本人の有名アーティストは誰が持っているのか?」といった疑問や、偽物に関する不安を持つ方も多いはずです。
この記事では、単なる金額の羅列ではなく、その価値が決まる裏側のメカニズムや、伝説的な個体のエピソードまで、深掘りしてお届けします。
ギブソン レスポール 1959 最高額の実態
まずは皆さんが一番気になっているであろう「お金」の話から始めましょう。
「家が買える」どころか「ビルが建つ」レベルの金額が飛び交うこの世界。オークションの表舞台と、水面下のプライベート・セールでは、全く異なる論理で価格が決まっています。
オークションでの価格記録
公開されているオークションの記録は、市場の透明性を知る上でとても重要な指標になりますね。最近、世界中のコレクターを震撼させたニュースといえば、2024年にクリスティーズで落札されたマーク・ノップラー所有の1959年製レスポールでしょう。
このギター、なんと約87万6,000ドル(当時のレートで約1億3000万円以上)で落札されました。これは公開オークションにおける1959年製スタンダードの最高額記録を更新する快挙でした(参照:AT CHRISTIE’S TOTALS £8,840,160 / $11,227,003 / €10,342,987 – Christie’s)
以前、2022年には「ジェームズ・モーガン・コレクション」のワンオーナー品が約17万2,000ポンドで落札されましたが、ノップラーの個体はその数倍。
「誰が弾いていたか」というプロヴナンス(来歴)がいかに価格を跳ね上げるか、如実に示した例と言えます。
一方で、一般の富裕層コレクターが所有していた個体と、ロックスターが愛用していた個体では、同じ1959年製でも「億単位」の差がつくことがあるんです。まさに夢と現実が交錯する世界ですね。
ビンテージ市場の価格階層
「最高額」ばかりに目が行きがちですが、市場には明確なランク付け、つまり「階層」が存在します。私が調べたところ、現在の市場はざっくりと以下のようなグレード分けになっています。
| グレード | 推定価格帯(ドル) | 特徴 |
|---|---|---|
| プレイヤー | 20万〜30万 | 修理歴やパーツ交換あり。演奏重視。 |
| コレクター | 30万〜50万 | フルオリジナル。美しい杢目。 |
| プレミアム | 50万〜80万 | 極上のトラ杢(フレイム)とミント状態。 |
| セレブリティ | 100万〜無限大 | 伝説的ミュージシャンの使用機。 |
このように、コンディションや杢目の美しさだけで価格が2倍、3倍と変わります。「プレイヤー・グレード」なら頑張れば手が届く…いや、それでも数千万円ですが、投資目的の「プレミアム・グレード」になると、もはや美術品の領域ですね。
高見沢氏など日本のコレクター
実は日本、世界でも有数の「バースト大国」だって知っていましたか?特に有名なのが、THE ALFEEの高見沢俊彦さんです。彼はテレビ番組やライブでも惜しげもなく1959年製レスポールを披露していますが、あのクラスの個体、今の相場で評価したらとんでもない額になるはずです。
また、日本のヴィンテージ・ギター界の重鎮であるクニオ・キシダ氏の存在も忘れてはいけません。彼はデュアン・オールマンが使っていたレスポールなど、歴史的遺産レベルのギターを日本に持ち込んだ功労者です。
日本のショップ「ナンシー」などが扱う個体には、海外のバイヤーがわざわざ買い付けに来るほどの良質なものが多く、日本のコレクターの審美眼の高さは世界的に認められています。
豆知識:逆流現象
円安の影響もあり、かつて日本に入ってきた名器たちが、再び海外へ流出するケースも増えています。国内で見かけたら、それが「最後の一本」かもしれません。
hideのギターとの価値比較
X JAPANのhideさんも、実は1959年製レスポールの所有者として知られていました。彼のメインギターといえばモッキンバードのイメージが強いですが、晩年に手に入れたバーストは、彼にとって特別な存在だったようです。
ここで面白いのが「価値の比較」です。hideさんが所有していた個体のように、国内のレジェンドが所有していたという事実は、日本国内においては世界的なロックスターの個体と同等、あるいはそれ以上のプレミアムが付く可能性があります。
もし仮に市場に出れば、ファンの熱意も相まって、通常の相場を完全に無視したプライスが付くことは間違いありません。楽器としての価値に「カリスマ性」という付加価値が乗ると、金額は青天井になるんですね。
ギブソン レスポール 1959 最高額の理由
では、なぜ1958年や1960年ではなく、1959年だけがこれほど神格化されるのでしょうか?そこには、単なる希少性だけではない、楽器としての「奇跡的なバランス」が存在します。
なぜ高い?3つの核心的要因
1959年製が高騰し続ける理由は、大きく分けて3つあります。
- 完成されたスペック:ネックの太さやフレットなど、演奏性が最も良いとされる仕様であること。
- 象徴性:ジミー・ペイジやエリック・クラプトンなど、ロックの神様たちがこぞって1959年製を選んだこと。
- 絶対的な供給不足:世界中の富裕層が欲しがっているのに、モノが圧倒的に足りないこと。
特に「需要と供給」のバランスは崩壊していて、最近ではロレックスやフェラーリのように「資産」として買われるケースも増えています。弾くためではなく、金庫にしまうために買う。悲しい気もしますが、それが価格を押し上げている現実があります。
1959年式だけの特別な特徴
プレイヤー目線で見ると、1959年製はまさに「スイートスポット」なんです。1958年製はネックが太すぎて「ベースボール・バット」なんて呼ばれますし、逆に1960年製は薄すぎて好みが分かれます。
その中間に位置する1959年製のネックは、多くのギタリストにとって「これだ!」としっくりくる握り心地なんですね。
また、フレットも1959年から幅の広い「ジャンボ・フレット」に変更されました。これにより、ロックに不可欠なチョーキングやビブラートが格段にやりやすくなりました。つまり、ロックを弾くために生まれたような仕様になったのが、ちょうどこの年だったわけです。
希少な本数と失われた台帳
実は、1959年製の正確な生産本数ははっきりしていません。一般的には643本程度と言われていますが、ギブソン社の出荷台帳(シッピング・レジャー)の一部が紛失しているため、謎に包まれているんです。
メーカーであるギブソン自身が、この「失われた台帳」を見つけるために懸賞金をかけているほど。このミステリアスな背景も、コレクター心をくすぐる要因の一つですね。「世界に何本あるかわからない」なんて言われたら、余計に欲しくなるのが人間の性というものでしょうか。
PAFピックアップという心臓部
サウンドの要となるのが、伝説のハムバッカー「PAF(Patent Applied For)」です。当時のPAFは現代のように厳密な規格で作られておらず、職人の手巻きによる「適当さ」が良い意味での個体差を生んでいました。
特に有名なのが、ピーター・グリーンからゲイリー・ムーア、そしてカーク・ハメットへと受け継がれた「Greeny」という個体。
ピックアップの磁石が逆に入っていたことで生まれた独特のフェイズ・サウンドは、偶然の産物でした。こうした「意図せぬ奇跡」が詰まっているのが、当時のPAFの魅力なんです。
本物のレスポール鑑定法
残念なことに、これだけ高額だと偽物(フェイク)も横行します。中国製のコピー品「Chibson」から、精巧なコンバージョンまで様々ですが、私たちが見るべきポイントはいくつかあります。
注意すべき鑑定ポイント
- フレット・エッジ・バインディング(Nibs):本物はバインディングがフレットの端を覆っています。フレットがバインディングの上に乗っているなら要注意。
- 「Gibson」ロゴ:「i」のドットの位置や、経年変化によるラッカーの馴染み具合。白く浮いて見えるロゴは怪しいです。
- 配線材:コントロールキャビティを開けて、編組シールド線が使われているか確認しましょう。安っぽいビニール線ならアウトです。
もちろん、数百万円、数千万円の買い物をする際は、信頼できる専門店での鑑定が必須です。「ネットオークションで掘り出し物」なんて、この世界にはまず存在しないと思ってください。
総括:ギブソン レスポール 1959 最高額の未来
ここまで見てきたように、ギブソン レスポール 1959の「最高額」は、単なる数字以上の意味を持っています。マーク・ノップラーの個体が記録した約1億3000万円という公開価格も凄いですが、「Greeny」のように実質200万ドル(約3億円)以上の価値があるとされる個体も存在します。
今後、市場に出回る良質な個体は限りなくゼロに近づいていくでしょう。もしあなたが本気で手に入れたいなら、あるいはその夢を追いかけ続けたいなら、今この瞬間の相場や情報を常にキャッチアップしておく必要があります。
それは単なる楽器購入ではなく、ロックの歴史そのものを手にする行為なのですから。

