憧れのフェンダージャガーを手に入れたいけれど、検索窓に「人気ない」という言葉が出てきて不安になっていませんか。
見た目は最高にかっこいいのに、評判を調べると弾きにくいとか弦落ちするといったネガティブな声が多くて、購入をためらってしまう気持ちはとてもよくわかります。
でも実は、その扱いにくさこそがこのギターの個性であり、適切な調整や改造を施すことでかけがえのない相棒になる可能性を秘めているのです。
この記事では、なぜ人気がないと言われるのかという疑問に対する答えと、それを克服するための具体的な方法について、私の経験を交えながら詳しくお話ししていきます。
フェンダージャガーが人気ないと言われる理由
まず結論から言うと、ジャガーが「人気ない」と検索されてしまうのは、現代の一般的なギターと比べてあまりにも「手がかかる」からです。ここでは、多くのプレイヤーが直面する具体的な壁について解説します。
弦落ち対策が必須となる構造的な欠点
ジャガーを語る上で避けて通れないのが、悪名高い「弦落ち」の問題です。これは演奏中に弦がブリッジの溝から外れてしまう現象のことで、初心者が最も絶望するポイントの一つですね。
なぜこんなことが起きるかというと、ジャガーが開発された1960年代初頭は、今のような細い弦(ライトゲージ)ではなく、極太のフラットワウンド弦が主流だったからです。
当時の設計思想のまま、現代の細い弦で激しいストロークやチョーキングをすると、弦を下に押し付ける力(ダウンフォース)が足りず、いとも簡単に溝から脱線してしまいます。
これは故障ではなく「物理的な仕様」と言ったほうが正しいでしょう。何も対策せずに現代のプレイスタイルで弾こうとすれば、ストレスが溜まるのは当然かもしれません。
ここがポイント
「弦落ち」はジャガーの持病です。故障だと思って焦る必要はありませんが、快適に弾くためには何らかの対策がほぼ必須となります。
初心者には弾きにくい独特なテンション感
ジャガーは「ショートスケール」という少し短いネックを採用しているため、ストラトキャスターなどに比べると弦の張り(テンション)が弱くなります。一見すると「弦が柔らかくて押さえやすい」というメリットに思えますが、実はこれが落とし穴なんです。
テンションが緩いということは、ピッキングした瞬間に弦が暴れやすいことを意味します。力加減をコントロールできないと、音がビビリやすかったり、押弦した指に力が入りすぎて音程(ピッチ)がシャープしてしまったりします。
「なんだか音が安定しないな」と感じて、自分の腕前のせいだと落ち込んでしまう初心者の方も多いのですが、実はギターの特性によるところが大きいのです。
音作りで迷うスイッチ類の複雑な操作
ジャガーのボディには、たくさんのスイッチやノブがついていますよね。これが「メカメカしくてかっこいい!」と愛される理由でもあり、「使い方がわからなくて挫折する」原因でもあります。
特に混乱を招くのが、ボディ上部にある「リズム回路」と下部にある「リード回路」の使い分けです。演奏中にうっかり上部のスイッチに手が当たってしまい、急に音がこもってしまって「壊れた!?」とパニックになるのは、ジャガー使いなら誰もが通る道でしょう。
また、低音をカットする「ローカット・スイッチ」をオンにすると、音が極端にキンキンになります。これを「音が細くて使えない」とネガティブに捉えてしまう人が多いのも、人気がないと言われる一因ですね。
ブリッジ周りの共振やトラブルの多さ
ジャガーを弾いていると、ブリッジ付近から「ジーーー」という謎の金属音が聞こえることがあります。これは「共振(バズ)」と呼ばれる現象で、多くのパーツが組み合わさっているジャガー特有の悩みです。
ブリッジの足がボディに対して完全に固定されていないフローティング構造のため、強く弾くとブリッジ自体が動いたり沈み込んだりします。これがアーミングの滑らかさを生むのですが、チューニングの不安定さやノイズの原因にもなります。
注意点
完璧な静寂性や安定性を求めるなら、ジャガーは不向きかもしれません。この「雑味」も含めて愛せるかどうかが試されます。
ショートスケールがもたらす好みの分断
先ほど触れたショートスケールですが、音質面でも好みがはっきり分かれます。弦長が短いぶん、サスティン(音の伸び)があまりありません。
ロングトーンで泣きのギターソロを弾きたい人や、重厚なメタルサウンドを出したい人にとっては、音がすぐに減衰してしまうジャガーは物足りなく感じるでしょう。
逆に、カッティングの歯切れの良さや、グランジのような「暴れるサウンド」を求める人には最高にマッチします。「万能ではない」という点が、万人受けしない(=人気がない)理由の核心部分なのかもしれません。
人気ないフェンダージャガーを救う改造と調整
ここまで散々なことを言ってきましたが、安心してください。これらの弱点は、適切な「改造(モディファイ)」と「調整」で劇的に改善できます。
ここからは、ジャガーを実戦的なギターに生まれ変わらせるための救済策を紹介します。
バズストップバーの効果と音質の変化
ジャガーの救世主とも言えるパーツが、「バズ・ストップ・バー」です。これをトレモロとブリッジの間に取り付けることで、弦を強制的に押し下げ、不足していたテンション(ダウンフォース)を稼ぐことができます。
効果は絶大で、弦落ちや共振が驚くほど解消されます。ただし、音質も変化します。ジャガー特有の「緩いジャラジャラ感」が減り、ストラトやテレキャスに近い「パキッとした芯のある音」になります。
価格も5,000円前後とお手頃で、加工なしで取り付けられるので、まずはこれを試すのが一番の近道かなと思います。
| 項目 | 未装着(オリジナル) | バズ・ストップ・バー装着 |
|---|---|---|
| 弦落ちリスク | 高い | 低い(安定する) |
| 音の傾向 | 柔らかく暴れる | 硬くタイトになる |
| テンション感 | 緩い | きつい(張りが出る) |
定番のサドル交換で弦落ちを完全攻略
バズ・ストップ・バーを使わずに、より根本的に弦落ちを防ぐ方法として「サドル交換」があります。オリジナルのネジ山のようなサドルを、「ムスタング用のサドル」に交換するのがド定番の改造です。
ムスタングサドルには深い一本溝が刻まれているので、弦が横にずれるのを物理的にブロックしてくれます。これならジャガー本来の緩いテンション感を残したまま、弦落ちのストレスだけを解消できますね。
予算に余裕があるなら「Mastery Bridge」のような高級リプレイスメントパーツを導入すると、さらに劇的な改善が見込めます。
デザインは最高にかっこいいという魅力
ここまで機能面の話をしてきましたが、ジャガーを選ぶ最大の理由は結局のところ、理屈抜きで「最高にかっこいい」からではないでしょうか。
左右非対称のオフセット・ボディ、きらびやかなクロームパーツ、メカニカルなスイッチ類。ステージ映えという点において、ジャガーの右に出るギターはそうそうありません。
「人気ない」と言われようが「弾きにくい」と言われようが、そのルックスに惚れ込んでしまえば、すべての欠点は些細な問題に思えてくるものです。見た目のモチベーションは、練習を続ける上で何より大切な要素ですからね。
個性的な使用アーティストたちが証明する価値
ジャガーがただの「欠陥ギター」ではないことは、歴史に名を残す多くの使用アーティストたちが証明しています。
最も有名なのは、やはりニルヴァーナのカート・コバーンでしょう。彼が掻き鳴らす轟音と破壊的なサウンドは、ジャガー(改造されたモデルですが)のポテンシャルを世界に知らしめました。
また、マイ・ブラッディ・ヴァレンタインのケヴィン・シールズのようなシューゲイザーの巨匠や、元ザ・スミスのジョニー・マーのような技巧派まで、独自のサウンドを追求するギタリストたちに愛され続けています。
彼らは皆、ジャガーの「不完全さ」を逆手にとり、他のギターでは出せない唯一無二の表現を生み出しています。
改造前提で考える購入後のコスト感
これからジャガーを買うなら「本体代金+改造費」を予算に組み込んでおくことを強くおすすめします。
例えば、バズ・ストップ・バーで約5,000円、ショップでの調整費用を含めれば、本体価格に加えて1〜2万円程度は見ておいたほうが安全です。
「買って終わり」ではなく、「自分好みに育てていく」という感覚を持つことが、ジャガーと長く付き合うコツですよ。
豆知識
最近のモデル(Playerシリーズなど)では、最初から弦落ち対策済みのブリッジが搭載されていることもあります。改造が不安な方は、そういったモダンな仕様のモデルを選ぶのも賢い選択です。
現代の音楽シーンにおける評価と評判
「人気がない」と言われつつも、実はオルタナティブ・ロックやシューゲイザー、サーフ・ミュージックといったジャンルでは、ジャガーは絶対的な王者の地位を築いています。
ニルヴァーナのカート・コバーンをはじめ、個性的でカリスマ性のあるギタリストたちがこぞって使用していることからもわかるように、その「不完全さ」が生み出す唯一無二のサウンドは、現代の音楽シーンでも高く評価されています。
優等生的なギターには出せない、荒々しくも色気のある音は、一度ハマると抜け出せない中毒性があります。
フェンダージャガーは人気ないが唯一無二
結論として、フェンダージャガーは決して「ダメなギター」ではありません。ただ、誰にでも扱いやすい「親切なギター」ではないというだけです。
手間はかかるし、癖も強い。でも、そのじゃじゃ馬を乗りこなして、自分だけの音を出せたときの喜びは格別です。
「フェンダージャガー 人気ない」という検索結果に惑わされず、その不便さすらも愛おしいと思えるなら、ジャガーはあなたにとって「一生モノの相棒」になるはずです。ぜひ、恐れずにその個性的な世界に飛び込んでみてください。
なお、改造や調整には専門的な知識が必要な場合もあります。不安な場合は無理をせず、信頼できるリペアショップや楽器店に相談することをおすすめします。正確な情報は公式サイトなども併せてご確認ください。

