これからギターを始めようとしている方や、2本目の購入を検討している方の中で、スクワイヤーは恥ずかしいという評判を目にして不安を感じている方はいませんか。
ネット上には様々な意見がありますが、実際にフェンダー直系ブランドとしての実力はどうなのか、初心者が使っても大丈夫なのか、気になるところが多いはずです。
また、なぜ安いのかという価格の理由や、購入後に後悔しないための選び方についても知っておきたいですよね。
この記事では、そうした疑問を一つひとつ解消し、あなたが自信を持って愛機を選べるようにお手伝いします。
スクワイヤーは恥ずかしいという誤解と真実

ここでは、なぜ「スクワイヤーは恥ずかしい」というネガティブな検索ワードが生まれてしまうのか、その根本的な理由を深掘りしていきます。
多くの場合は楽器の品質そのものよりも、ブランドに対するイメージや、私たちユーザー側の心理的なハードルが大きく影響しているようです。
ネットでのダサいという評判の真偽
インターネット上の掲示板やSNSを見ると、時折「スクワイヤーはダサい」といった辛辣な意見を見かけることがあります。しかし、これらを鵜呑みにする必要はありません。
こうした意見の多くは、過去の粗悪なコピーモデル時代の記憶を引きずっているか、単に「高いギターこそが正義」と信じている一部の層によるものです。
実際には、現代のスクワイヤーは非常にクールな存在として受け入れられています。特に海外のレビューなどでは「完璧ではないけれど、それが逆にロックでカッコいい」というニュアンスで評価されることが多いです。
例えば、少しボロボロのジーンズを履きこなすような感覚で、スクワイヤーのチープさを逆手に取ってラフに弾き倒すスタイルは、パンクやグランジの精神に通じるものがあります。
他人の目を気にしてロゴを隠す(削る)ことよりも、そのまま堂々と使うことの方が、今の時代はずっと粋だと私は思います。
本家フェンダーへの劣等感の心理的背景
正直なところ「恥ずかしい」という感情の正体は、楽器の性能ではなく「ブランドのヒエラルキー」に対するコンプレックスにあることが多いです。
「Fender」というロゴが入ったヘッドストックこそが本物であり、その廉価版であるSquierは「予算が足りなかった人の妥協」と見られるのではないか……そんな不安、なんとなく分かりますよね。
特にギターを始めたばかりの頃は、機材で自分の実力を判断されるような気がして、過剰に周囲の目を気にしてしまいがちです。しかし、実際にスタジオやライブハウスに行ってみると、上手い人ほど機材の値段に関係なく良い音を出していることに気づきます。
逆に、高価なギターを持っていても演奏がおぼつかない方が、かえって目立ってしまうことも。重要なのは「どこのブランドか」ではなく、「どう弾くか」なのです。
生産拠点の違いなどなぜ安いのかを解説
「安かろう悪かろう」という言葉がありますが、スクワイヤーがなぜ安いのか、その理由を正しく理解すれば不安は解消されます。
最大の理由は、人件費や製造コストを抑えられる中国やインドネシアなどのアジア圏で生産しているからです。
コストダウンの主な要因
- 製造拠点の人件費の違い(USAや日本との比較)
- 木材のグレードや種類の変更(ポプラ材などの採用)
- パーツの大量生産とコストカット
もちろん、USA製に比べればパーツの精度や木材のランクは異なりますが、現代の技術、特にCNC(コンピュータ制御の工作機械)による加工精度の向上は凄まじいものがあります。
「安いから弾けない」ということは全くなく、むしろこの価格帯でフェンダーの設計思想を正しく受け継いだ楽器が手に入ることは、素晴らしいことだと私は思います。
当たり個体や伝説のJVシリアルが存在する
スクワイヤーの歴史を語る上で外せないのが「JVシリアル」と呼ばれる1982年〜1984年頃の初期日本製モデルです。
これらは当時、本家フェンダーUSAの品質を凌駕するほどのクオリティで作られ、現在の中古市場ではプレミア価格で取引されるほどの「伝説」となっています。
JVシリアルとは?
Squier発足当初に日本のフジゲンなどで製造された初期モデル。シリアルナンバーが「JV」から始まることからこう呼ばれ、ジャパン・ヴィンテージの最高峰として世界中で評価されています。
現代の新品においても、個体差の中にいわゆる「当たり」と呼ばれる素晴らしい鳴りを持つギターが存在します。工場での品質管理が向上しているため、昔ほど極端な当たり外れはありませんが、楽器店で実際に試奏して「おっ、これは!」という一本に出会えた時の喜びは格別ですよ。
ヤマハのパシフィカと比較してわかる魅力
同じ価格帯のライバルとして、よく引き合いに出されるのがYAMAHAの「パシフィカ」シリーズです。
正直に言えば、工業製品としての精密さや品質の均一性では、パシフィカに軍配が上がることもあります。特にフレットの処理や初期状態の弾きやすさは、ヤマハならではの安心感がありますね。
| 比較項目 | Squier (Sonic/Affinity) | YAMAHA (Pacifica) |
|---|---|---|
| 強み | 伝統的なルックスとFenderトーン | 高い品質管理と汎用性 |
| ネック | 丸みのあるCシェイプ | 薄めでテクニカルな演奏向き |
| 向いている人 | ロックの歴史や見た目を重視する人 | 弾きやすさと機能性を重視する人 |
しかし、スクワイヤーにはパシフィカにはない「色気」があります。ストラトキャスターやテレキャスターが持つ歴史的なデザインの美しさ、独特の暴れるようなサウンドは、やはりフェンダー直系のブランドでしか味わえません。
「機能のヤマハ」か「ロマンのスクワイヤー」か、これはもう好みの問題と言っていいでしょう。
ロゴを削る行為こそ自信のなさの表れ
ネットを見ていると、ヘッドの「Squier」ロゴをサンドペーパーで削り取ってしまおうとする人がいます。中にはフェンダーのデカールを貼って偽装しようとするケースも。厳しいことを言うようですが、この行為こそが最も恥ずかしいことだと私は思います。
ロゴを消したところで、ボディの形状やパーツの特徴を見れば、詳しい人にはすぐにスクワイヤーだとバレてしまいます。何より、自分が使っている楽器を否定しながら演奏するのは、精神衛生上よくありません。
「安ギターだけど、俺が弾くと最高の音がするんだ」と胸を張って弾き倒すほうが、何倍もカッコいいと思いませんか?
スクワイヤーは恥ずかしいなんて言わせない

ここからは、スクワイヤーが単なる「安物」ではなく、プロの現場でも通用するポテンシャルを秘めた楽器であることを解説します。最近のモデルは本当によく出来ていて、私も試奏するたびに驚かされています。
最上位クラシックヴァイブ 評価はプロ級
もし予算が許すなら、ぜひ手に取ってほしいのが「Classic Vibe(クラシックヴァイブ)」シリーズです。これはスクワイヤーの最上位ラインで、1950年代や60年代のヴィンテージ仕様を忠実に再現しています。
このシリーズの評価はすこぶる高く、塗装の質感やネックの握り心地、そして何よりサウンドが本格的です。
「Fender Designed」のアルニコピックアップを搭載しており、特有のチャキチャキとした煌びやかなトーンは、本家フェンダーメキシコや、場合によってはUSA製に肉薄するレベルです。プロのギタリストがサブ機として、あるいはあえてメイン機として選ぶことも珍しくありません。
現代の技術が生むSonicシリーズの進化
「Bullet」シリーズの後継として登場した「Sonic」シリーズも侮れません。エントリーモデルでありながら、現代的なCNC加工技術によって、ネックの精度などが飛躍的に安定しています。
特筆すべきは、ボディが少し薄く作られている点です。これにより軽量で抱えやすく、小柄な方や女性、お子様にも扱いやすくなっています。
カラーバリエーションも豊富で、ポップな色合いは今の時代にマッチしていますね。確かにパーツ類はコストカットされていますが、楽器としての基礎体力は十分に備わっているので、初心者の最初の一本としては最適な選択肢の一つです。
世界的なプロミュージシャンによる愛用例
「スクワイヤー=初心者用」というレッテルを完全に打ち砕くのが、世界的なアーティストたちの存在です。彼らは金銭的な理由ではなく、あえてそのサウンドを求めてスクワイヤーを選んでいます。
Squierを使用する主なアーティスト
- J Mascis (Dinosaur Jr.): 彼のシグネイチャーJazzmasterは、名機として非常に人気があります。
- Mike Dirnt (Green Day): パンクの荒々しいサウンドには、高級機よりも頑丈なSquierのベースがマッチします。
- オカモトコウキ (OKAMOTO’S): 日本のプロの現場でも、Classic Vibeシリーズなどが実戦投入されています(参照:Squier®︎ Special Interview | オカモトコウキ(OKAMOTOʼS))
彼らが証明しているのは「良い音楽を奏でるのに、ヘッドストックのロゴは関係ない」という真実です。
改造のベースとしてはスクワイヤーで十分
ギターいじりが好きな人にとって、スクワイヤーほど優秀な素材はありません。フェンダーの標準的な規格で作られているため、世の中に溢れている交換用パーツのほとんどが使用可能です。
例えば、ペグを精度の高いものに交換したり、ピックアップを高級なSeymour Duncanなどに載せ替えたりするだけで、化けるように音が良くなります。
「本体はスク ワイヤーで十分、中身はプロ仕様」という「スリーパー(羊の皮を被った狼)」的な楽しみ方ができるのも、このブランドならではの魅力です。自分だけの最強の一本に育て上げる喜びは、完成された高級ギターでは味わえません。
結論:スクワイヤーは恥ずかしいは古い偏見
ここまで見てきた通り、「スクワイヤー 恥ずかしい」という感覚は、過去の粗悪なコピー品時代の記憶や、ブランド名にこだわる一部の偏見に過ぎません。
現代のスクワイヤーは、歴史的な背景、確かな技術、そしてプロの使用実績に裏打ちされた、立派な楽器ブランドです。
もちろん、何十万円もするギターとは違いはありますが、音楽を楽しむためのツールとしての価値は十分すぎるほどあります。
自信を持ってスクワイヤーを手に取り、あなただけの音を鳴らしてください。誰になんと言われようと、楽しんで弾いているあなたが一番カッコいいのですから。

