リトルマーチンに興味を持って調べていると、弾きにくいという評価や後悔したという声をネットで見かけて不安になっている方も多いのではないでしょうか。
実際に購入してから弦の硬さやネックの感触に戸惑う初心者の方も少なくありません。でも安心してください。
このギターは適切な調整や特徴を理解することで、最高のトラベルギターになり得るポテンシャルを秘めています。
リトルマーチンが弾きにくい理由を徹底解剖
憧れのマーチンロゴが入ったミニギターを手に入れたのに、なぜか「弾きにくい」と感じてしまう。実はこれ、あなたの腕前のせいだけではありません。
リトルマーチンという楽器が持つ構造的な特徴や、物理的な仕様が大きく関係しているんです。まずは、なぜ多くの人が苦戦するのか、その理由を詳しく見ていきましょう。
購入後に後悔しないために
リトルマーチンは非常に魅力的なギターですが、見た目の可愛さだけで購入して「こんなはずじゃなかった」と後悔してしまうケースが後を絶ちません。特に多いのが「小さいから子供や初心者でも簡単に弾けるだろう」という誤解です。
実はこのギター、箱から出したそのままの状態(工場出荷状態)だと、大人でも結構な握力を必要とするセッティングになっていることが多いんです。
これはマーチン社があえてそうしている部分もあるのですが、初心者にとってはハードルが高いのも事実。まずは「そのままでは少し手強い楽器かもしれない」と知っておくだけでも、向き合い方が変わってきますよ。
ここがポイント
リトルマーチンは「初心者向けの優しいギター」というよりは、「プロも使える頑丈な小型ギター」という設計思想が強いです。
ユーザーの正直な評価
実際に使っているユーザーの評価を見ていると「弦が硬い」「指が痛くなる」という声が非常に多いことに気づきます。これにはちゃんとした物理的な理由があるんです。
普通、弦長(スケール)が短いギターは弦の張力(テンション)が緩くなるはずですよね?でも、リトルマーチンは23インチという極端に短いスケールで音のハリを保つために、出荷時に太めの弦(ミディアムゲージ相当)が張られていることが多いのです。
短いスケールに太い弦を張ると、指先に感じる圧力は意外と強くなります。これが「小さいのに指が痛い」という評価につながっている正体ですね。
窮屈な23インチスケール
「弾きにくさ」のもう一つの要因は、フレットの間隔です。23インチスケールは、通常サイズのギターに比べてフレット同士の間隔がかなり狭くなっています。
手が小さい方やお子さんにはメリットになるのですが、一般的な成人男性の手の大きさだと、ハイポジション(ボディに近い方)でコードを押さえる時に指同士がぶつかってしまう「Crowding(密集)」という現象が起きます。
特にAコードなどを指3本で押さえようとすると、窮屈で綺麗に音が鳴らないことがあります。これは技術不足ではなく、指の太さとフレット幅の物理的な相性問題なんですよね。
重いネックとバランスの悪さ
立って弾いたり、座って膝に乗せたりした時に「ヘッド側が重いな」と感じることはありませんか?これを「ヘッド落ち(ネック落ち)」と言います。
リトルマーチンのネックには「ストラタボンド」という積層合板が使われています。これは非常に頑丈で反りにくい素晴らしい素材なんですが、木材としてはかなり重量があります。一方でボディはHPL(ハイプレッシャー・ラミネート)という素材で、かつ小さいので比較的軽量です。
バランス崩壊の罠
重いネックと軽いボディの組み合わせにより、左手はコードを押さえるだけでなく「下がろうとするネックを支える」という仕事までさせられます。これが長時間の演奏で疲れを感じる原因になります。
HPL素材の硬いレスポンス
ボディに使われているHPL素材についても触れておきましょう。これは木材の繊維を樹脂で固めたもので、温度や湿度の変化にめちゃくちゃ強いという最強のメリットがあります。キャンプやアウトドアに持ち出すには最高です。
ただ、音響的な特性としては、単板の木材に比べて振動が少し硬い傾向があります。
軽く弾いただけではボディ全体が響きにくいため、初心者のうちは無意識に「音を出そうとして強く弾きすぎてしまう」ことになりがちです。強く弾けば弦が暴れてビビリやすくなりますし、右手にも余計な力が入ってしまいます。
ベイビーテイラーとリトルマーチンの比較
よく比較対象になる「ベイビーテイラー(Baby Taylor)」についても触れておきます。「どっちが弾きやすいの?」と聞かれたら、正直に言うと「箱出し状態ならベイビーテイラーの方が弾きやすい」と答えることが多いですね。
| 項目 | リトルマーチン | ベイビーテイラー |
|---|---|---|
| ネック構造 | 伝統的ジョイント(調整難) | ボルトオン(調整容易) |
| 音の傾向 | 低音寄り・落ち着いた音 | 明るい・キラキラした音 |
| 弾き心地 | ガッシリして硬め | 軽やかで柔らかめ |
ベイビーテイラーはボルトオン構造でネックの仕込み角が調整しやすく、音色も明るいため、軽いタッチでも音が前に出てくれます。
一方でリトルマーチンは「マーチンの音」の成分を持っていて、所有感や堅牢さでは勝っています。どちらが良い悪いではなく、キャラクターの違いですね。
「リトルマーチンは弾きにくい」は解決できる
ここまで「弾きにくい理由」ばかり並べてしまいましたが、ここからが本番です。リトルマーチンは、適切な「可愛がり方(調整)」を知っていれば、決して弾きにくいギターではありません。私自身も実践している、リトルマーチンを快適に楽しむための解決策をご紹介します。
最適な弦の選び方とは
一番手っ取り早くて効果絶大なのが「弦交換」です。工場出荷時の太い弦にこだわる必要はありません。「指が痛い」「硬い」と感じるなら、迷わず細い弦に張り替えましょう。
- ライトゲージ (.012-.053):まずはここから試してみてください。
- カスタムライト (.011-.052):これくらい細くすると、かなり押さえやすくなります。
- シルク&スチール:芯線にシルク(絹)が巻かれた特殊な弦です。音量は下がりますが、クラシックギターのように柔らかいタッチになるので、指が痛くて挫折しそうな初心者の方やお子さんには特におすすめです。
弦を細くすると少し音の迫力は減りますが「弾けなくて触らなくなる」より「楽しく弾き続けられる」方が100倍マシです。
エドシーランが使う理由
リトルマーチンといえば、世界的アーティストのエド・シーラン(Ed Sheeran)が愛用していることで有名ですよね。「あんなに弾きにくいギターをプロが使っているの?」と疑問に思うかもしれません。
彼は初期の頃からLX1Eなどのモデルを使っていますが、それは「持ち運びやすさ」と「頑丈さ」、そしてあの独特のポコポコとした「チープで温かい音」をあえて求めているからです。
そして重要なのは、彼のギターは専属のテック(技術者)によって、完璧に弾きやすい状態にセットアップされているということです。プロが使っているからといって、買ったままの状態で彼と同じように弾けるわけではない、というのは覚えておきたいポイントです。
必須のネック調整と専用工具
これがリトルマーチン最大の罠であり、最も重要なポイントです。ネックの反りを調整する「トラスロッド」という部品があるのですが、リトルマーチンの調整口はサウンドホールのかなり奥深くにあります。
実はこれ、普通の六角レンチでは届かないんです。
ここに注意!
調整には「リーチが4.5インチ以上ある、5mmのロングアーム・六角レンチ」という特殊な工具が必要です。
多くのユーザーが手持ちの工具で調整しようとして「サイズが合わない」「届かない」と諦めてしまいます。
でも、適切な工具さえあれば、ネックを少し調整してあげるだけで弦高が下がり、驚くほど弾きやすくなります。Amazonなどで数百円で買えることもあるので、リトルマーチンオーナーなら一本持っておくべき必需品です。
ナットとサドルの調整(プロ推奨)
特に「ローコードのFが押さえられない」という場合、原因のほとんどはナット(ヘッド側の弦を支えるパーツ)の溝が高すぎることにあります。リトルマーチンは出荷時、ここの高さにかなり余裕を持たせている個体が多い印象です。
ナットの溝を専用のヤスリで削って適正な高さにすると、まるで別のギターのように軽い力でコードが押さえられるようになります。ただし、削りすぎると元に戻せないので、ここだけは楽器店のリペア担当にお願いすることを強くおすすめします。数千円の出費で劇的に変わりますよ。
ストラップでバランス補正
先ほどお話しした「ヘッド落ち」問題ですが、これはストラップ選びで解決できます。ナイロン製のツルツルしたストラップだと、滑ってヘッドが下がってしまいます。
おすすめは、裏地がスウェードや革になっている、摩擦の大きいストラップです。これを短めにセットして体に密着させることで、左手でネックを支える必要がなくなり、運指だけに集中できるようになります。座って弾く時もストラップをすると安定しますよ。
まとめ:リトルマーチンは弾きにくいを克服
リトルマーチンは、確かに工場出荷状態では「弾きにくい」と感じる要素をいくつか持っています。しかし、それは頑丈さやコンパクトさを追求した結果の物理的な特性でもあります。
「リトルマーチンは弾きにくい」と感じたら、まずは諦めずに以下のステップを試してみてください。
- 弦を細いもの(ライトゲージやシルク&スチール)に交換する
- 専用のロングレンチを入手してネックの反りを確認する
- 滑りにくいストラップを使って重心を安定させる
- それでもダメならプロにナット調整を依頼する
手をかけて自分好みに調整(セットアップ)することで、この小さなギターは一生の相棒になれるポテンシャルを持っています。エド・シーランのように、自分だけの最高の一本に育ててあげてくださいね。

