これからギターを始めようと思い立った時、多くの人が最初に直面するのが「ギターをどこで買うか」という問題です。特に初心者の方にとっては、品揃えが豊富な楽器店に足を運ぶべきか、それとも手軽なネット通販を利用するべきか、大きな悩みどころでしょう。
また、実際に試奏しないで買うことへの不安や、もし店舗を訪れるなら東京のような楽器店の多い街が良いのかなど、疑問は次々と湧いてきます。
この記事では、そのような悩みを抱える方々のために、ギターの購入場所ごとのメリット・デメリットを徹底的に比較し、後悔しないための選び方を分かりやすく解説します。あなたに最適な一本と出会うための、確かな道しるべとなるはずです。
ギターはどこで買う?主な購入先の比較
- 楽器店でギターを買うメリット・デメリット
- ネット通販でギターを買うメリット・デメリット
- 初心者におすすめの購入場所はどっち?
- 試奏しないで買うのはアリ?注意点
楽器店でギターを買うメリット・デメリット
ギターを購入する際の選択肢として、まず考えられるのが実店舗の楽器店です。楽器店での購入は、特にギターを初めて手にする方にとって、数多くのメリットを提供してくれます。
最大の利点は、実際にギターを手に取り、音を出して試せる「試奏」が可能な点です。カタログスペックだけでは分からないネックの握り心地やボディの重さ、そして何よりも大切な音色を自分の耳で直接確認できます。これは、後々の練習のモチベーションにも大きく影響する要素です。
また、専門知識が豊富な店員に直接相談できるのも大きな強みと言えます。自分のやりたい音楽のジャンルや予算を伝えれば、数あるギターの中から最適な一本を提案してもらえます。購入後のメンテナンスや弦の交換方法、練習に関する悩みなど、アフターサポートの相談がしやすい点も心強いでしょう。
一方で、デメリットも存在します。一般的に、ネット通販と比較すると価格がやや高めに設定されている傾向があります。店舗の運営コストが価格に反映されるため、これは避けられない側面です。お住まいの地域によっては、そもそも近くに品揃えの豊富な楽器店がないというケースも考えられます。
ネット通販でギターを買うメリット・デメリット
近年、ギターの購入方法として一般化したのがネット通販です。自宅にいながら豊富な選択肢の中からギターを選べる手軽さは、大きな魅力となっています。
ネット通販の最大のメリットは、圧倒的な品揃えと価格比較の容易さです。全国のショップの在庫を一度にチェックできるため、実店舗では見つからないような珍しいモデルや限定カラーに出会える可能性もあります。
複数のサイトで価格を比較して、最も条件の良いものを選べるため、コストを抑えやすいのも利点です。利用者のレビューや口コミを参考にできるので、客観的な意見も判断材料になります。
しかし、初心者にとってネット通販には見過ごせないデメリットやリスクが伴います。最も大きな懸念点は、試奏ができないことです。写真や説明文だけで判断するため、「届いてみたらイメージと違った」「思ったより弾きにくい」といったミスマッチが起こる可能性があります。
ギターは木材でできているため、同じモデルであっても一本一本に個体差があります。ネット通販では、工場出荷時のセッティングのまま届くことが多く、初心者には調整が難しい弦高が高い状態で弾きにくさを感じるケースも少なくありません。初期不良や配送中のトラブルがあった際の返品・交換手続きが煩雑になることも考えられます。
初心者におすすめの購入場所はどっち?
楽器店とネット通販、それぞれのメリットとデメリットを踏まえた上で、初心者の方にどちらをおすすめするかと言えば、答えは明確です。初めてギターを購入するなら、可能な限り楽器専門店に足を運ぶことを推奨します。
その理由は、ギターという楽器が持つ「個体差」と、上達における「弾きやすさ」が極めて大切だからです。ネットの画面では同じに見えても、実際に持ってみるとネックの感触がしっくりこなかったり、音が好みに合わなかったりすることは頻繁にあります。この最初の「しっくりくる」という感覚が、ギターを長く続けるための重要な鍵となります。
楽器店の店員は、単なる販売員ではなく、あなたの音楽ライフをサポートしてくれる最初の仲間になり得ます。購入時に弾きやすいように弦の高さを調整してもらうだけでも、指の痛みが軽減され、練習のハードルは格段に下がります。このような専門的なサポートは、ネット通販では得られない大きな価値です。
もちろん、近くに楽器店がないなど、やむを得ない事情でネット通販を利用する場合もあるでしょう。その際は、信頼できる大手楽器店の公式通販サイトを選び、購入後の調整やサポート体制について事前に確認しておくことが求められます。
試奏しないで買うのはアリ?注意点
「ギターは弾けないから試奏するのが恥ずかしい」「試奏したら買わないといけない気がする」といった理由で、試奏しないでギターを買うことはできるのでしょうか。
結論から言うと、試奏をせずに購入することは可能です。店頭で気に入ったギターを見つけ、「これをください」と伝えれば、店員から試奏を勧められることはあっても、断れば問題なく購入手続きに進めます。
しかし、これは非常にもったいない選択と言わざるを得ません。前述の通り、ギターは一本一本コンディションが異なります。たとえコード一つ弾けなくても、ギターを抱えてみてボディの大きさや重さを体感したり、ネックを握ってみたりするだけでも、そのギターが自分に合っているかどうかのヒントを得られます。
もし自分で音を出すのがためらわれる場合は、「初心者なので、代わりに音を出してもらえませんか?」と店員にお願いしてみましょう。ほとんどの店員は快く応じてくれますし、ギターの特徴を説明しながら様々な音色を実演してくれるはずです。誰かに弾いてもらった音を客観的に聴くことで、新たな発見があるかもしれません。
ギターを試奏しないで買うという選択は、洋服を試着せずに買うのに似ています。デザインが気に入っても、サイズが合わなければ着ることはありません。ギターも同様に、自分にとっての「弾きやすさ」というサイズ感を確かめることが、失敗しないための大切なプロセスなのです。
初心者がギターをどこで買うか決めるポイント
- 初心者向けギターの価格帯と相場
- 初心者でも入りやすい大手楽器店4選
- 東京で楽器屋巡りにおすすめの街
- アコースティックギター選びの5つのポイント
- 覚えておきたい楽器店のマナー6選
初心者向けギターの価格帯と相場
ギターを始めようとする際、多くの方がまず考えるのが予算です。「続けられるか分からないから、最初は安いものでいい」と考える気持ちも分かりますが、価格は品質と直結する重要な指標となります。
初心者の方が最初の1本を選ぶにあたり、最もおすすめしたい価格帯は3万円から6万円前後です。この価格帯のギターは、楽器としての基本的な性能がしっかりしており、弾きやすさや音のバランスが良く、長く愛用できるモデルが豊富に揃っています。
1万円未満
この価格帯のギターは、非常に魅力的ですが注意が必要です。チューニングが安定しなかったり、弦高が高すぎて弦を押さえるのが困難だったりと、演奏に支障をきたす場合があります。弾きにくいギターは挫折の大きな原因となるため、最初の1本としては避けた方が無難と考えられます。
1万〜3万円
初心者向け入門モデルの王道と言える価格帯です。国内外の有名メーカーが、初心者が弾きやすいように設計したモデルを多数ラインナップしています。コストパフォーマンスが高く、まずはギターの感覚を掴みたいという方に適しています。
3万〜7万円
本格的な品質を持つ入門ギターが揃う価格帯です。使用される木材やパーツのグレードが上がり、音の響きが格段に良くなります。チューニングの安定性やネックの精度も高いため、練習がはかどり、上達しても長く満足して使えるでしょう。失敗したくないと考えるなら、この価格帯から選ぶのが最も賢明な選択です。
7万円〜10万円前後
中級者以上も視野に入れた高品質なモデルが多くなります。最初から良いものを手にして、本格的に取り組みたいという強い意志がある方にはおすすめです。表現力豊かなサウンドは、練習のモチベーションをさらに高めてくれるでしょう。
初心者でも入りやすい大手楽器店4選
「楽器店は常連客ばかりで入りにくい」「店員が怖そう」といったイメージを持っている方もいるかもしれませんが、近年は初心者でも安心して入れるカジュアルな雰囲気の楽器店が増えています。特に全国展開している大手チェーン店は、初めての方におすすめです。
島村楽器
全国のショッピングモール内に数多く出店しており、買い物ついでに気軽に立ち寄れるのが最大の魅力です。「イオンモール」や「ららぽーと」などでオレンジ色の看板を見かけたことがある方も多いでしょう。音楽教室も積極的に展開しており、初心者へのサポート体制が充実しています。
イシバシ楽器
主要都市の駅近くなど、アクセスの良い立地にある老舗チェーン店です。初心者向けモデルからプロ用の高価な楽器まで幅広く取り扱っていますが、店内はカジュアルな雰囲気で入りやすいです。中古楽器の買取・販売にも力を入れているため、長いスパンで付き合えるお店と言えます。
ヤマハミュージックリテイリング
世界的な楽器メーカーYAMAHAの直営店です。ショールームのように上品で落ち着いた雰囲気で、静かな環境でじっくりと楽器を選びたい方におすすめです。もちろんYAMAHAブランドのギターを探している場合には最適な選択肢となりますが、取り扱いメーカーが限られる点には注意が必要です。
山野楽器
銀座に本店を構える老舗ですが、ショッピングモール内の店舗などは非常にオープンな店構えで人気があります。CDショップと併設されていることも多く、音楽好きなら誰でも気軽に楽しめる空間です。公式サイトで各店舗の様子が写真で紹介されているため、訪れる前に雰囲気を掴みやすいのもポイントです。
東京で楽器屋巡りにおすすめの街
もしあなたがギター購入のために時間をかけて多くの選択肢を比較したいと考えているなら、楽器店が集中しているエリアに足を運ぶのが効率的です。特に東京には、世界的に見ても有数の楽器店街が存在します。
第1位:御茶ノ水
「楽器の街」と言えば、まず名前が挙がるのが御茶ノ水です。JR御茶ノ水駅から明治大学にかけての靖国通り沿いには、老舗から最新のコンセプトショップまで、数えきれないほどの楽器店が軒を連ねています。
ギターの在庫数は日本一とも言われ、初心者向けモデルから希少なヴィンテージまで、あらゆるギターがここに集結しています。まさに「ギターの聖地」であり、一日中いても飽きることはありません。
第2位:渋谷
若者の文化の発信地である渋谷も、楽器店が非常に多いエリアです。大手チェーン店が大型店舗を構えているほか、個性的なセレクトショップも点在しています。特にアンプやエフェクターなどの関連機材に強い専門店があるのも特徴で、幅広いニーズに応えてくれます。
他にも、池袋や新宿といったターミナル駅周辺にも有力な楽器店が点在しており、それぞれの街に特色があります。時間を許すならば、これらの街を巡って「お店の雰囲気」を肌で感じてみるのも、良いギターとの出会いにつながるかもしれません。
アコースティックギター選びの5つのポイント
ひとくちにギターと言っても、アコースティックギターとエレキギターでは選び方のポイントが少し異なります。ここでは、特にアコースティックギターを選ぶ際に失敗しないための5つのポイントを解説します。
1. 見た目は大事なモチベーション
毎日触れるものだからこそ、見た目のデザインは非常に大切な要素です。「見た目で選ぶのは良くない」と思われがちですが、自分が「カッコいい」「可愛い」と思えるギターを持つことは、練習への意欲を掻き立て、上達への近道となります。
2. 弾きやすさをチェックする
特に初心者は、ネックの太さと弦高(弦と指板の間の高さ)を確認してください。ネックが太すぎるとコードを押さえるのが大変になり、弦高が高いと指が痛くなりやすいです。必ず店頭で実際に手に取り、握りやすさを確かめ、店員に弾きやすい高さに調整してもらいましょう。
3. ボディサイズの違いを理解する
アコギには様々なボディサイズがあり、音の響きや弾き心地が大きく変わります。大柄な「ドレッドノート」は迫力のあるサウンドが魅力ですが、小柄な方には少し大きく感じるかもしれません。自分の体格に合った、抱えやすいサイズを選ぶことが、楽しく練習を続けるコツです。
4. 木材の種類と音の違いを知る
アコギの音色は、使われている木材によって大きく変化します。ただ、初心者の段階で材の違いによる音の聞き分けは難しいものです。最初は材の種類にこだわりすぎず、前述の見た目や弾きやすさを優先して問題ありません。
5. 固定観念にとらわれない
「このギターは弾き語り向け」「これはフィンガーピッキング用」といった一般的な説明に縛られる必要はありません。自分が弾きたいように弾くのが一番です。自由な発想で、心から気に入った一本を探してみてください。
覚えておきたい楽器店のマナー6選
楽器店は誰でも気軽に訪れることができる場所ですが、気持ちよく買い物をするために、いくつか知っておくと良い暗黙のルールが存在します。特にギターの試奏を考えている方は、以下のマナーを覚えておくと安心です。
1. 手荷物は最低限にしておく
楽器店は、ギターが所狭しと並べられており、通路が狭いことがよくあります。大きなリュックや荷物が商品にぶつかってしまうと思わぬ事故につながるため、手荷物はできるだけ少なくして入店しましょう。
2. 来店時間に余裕があるスケジュールを組む
ギター選びは思った以上に時間がかかるものです。閉店間際に焦って決めると後悔の原因になります。特にローンを組む場合は審査に時間がかかるため、時間に十分な余裕を持って来店することをおすすめします。
3. 服装にも気を付けておかないと危ない
ベルトのバックルや金属製のブレスレット、指輪などは、ギターのボディに簡単に傷を付けてしまいます。店頭のギターは試奏用のサンプルではなく、大切な商品です。傷を付けないよう、アクセサリー類は外しておくなどの配慮が求められます。
4. 大人数で店内に固まらないこと
友人やバンドメンバーと訪れることもあるでしょう。しかし、アンプの周りなどに密集して通路を塞いでしまうと、他のお客様の迷惑になります。周りへの配慮を忘れないようにしたいものです。
5. 無断で楽器に触らないルールは絶対に守る
これは最も重要なマナーです。展示されているギターに触りたくなっても、必ず先に店員に声をかけましょう。防犯ワイヤーで繋がれていることに気づかず無理に引っ張ったり、誤って倒してしまったりするトラブルが非常に多いためです。
6. 試奏するギターは慎重・丁寧に扱うこと
試奏を許可されたギターは、丁寧に扱いましょう。周囲の楽器にぶつけたり、必要以上に大きな音を出したり、延々と練習を始めたりするのはマナー違反です。
結局ギターはどこで買うのがベスト?
- 初めてのギターは、専門知識を持つ店員に相談できる楽器店での購入が最もおすすめ
- 楽器店では、実際にギターを試奏して音や弾きやすさを直接確認できる
- 購入時に自分の弾きやすい高さに弦高を調整してもらえるのは大きなメリット
- ネット通販は選択肢が豊富で価格も安い傾向にあるが、実物を試せないリスクがある
- ネットで買う場合、届いたギターが弾きにくく調整が必要になる可能性がある
- 初心者におすすめのギターの予算は、長く使える品質の3万円から6万円程度が目安
- 安すぎるギターは弾きにくく、挫折の原因になることがあるため注意が必要
- 大手楽器チェーン店、特にショッピングモール内の店舗は初心者に優しく入りやすい
- 東京でじっくり楽器店を巡るなら、在庫数が圧倒的な御茶ノ水が最適
- ギター選びでは、練習のモチベーションにつながる「見た目」も非常に大切な要素
- ネックの握りやすさやボディのサイズ感など、「弾きやすさ」を最優先に考える
- 試奏が恥ずかしい場合は、店員に代わりに演奏をお願いすることもできる
- 楽器店を訪れる際は、無断で商品に触れないなど、基本的なマナーを守ることが大切
- ベルトのバックルやアクセサリーで商品を傷つけないよう服装にも配慮する
- 最終的には、自分が心から気に入った、愛着を持って長く付き合える一本を選ぶことが何よりも重要