ギターのコンプレッサーはかけっぱなしにするのが常識という話を聞いたけれど本当なのかと疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。
エフェクターのつなぎ方や順番をどうすればいいのか、そもそも常時オンにすることにどんな意味や効果があるのか悩みますよね。
上手い人がやっている設定や、プロも愛用するおすすめの機種を知って、自分の音作りをワンランクアップさせたいという気持ち、痛いほどよく分かります。
この記事では、そんなコンプ迷子のために、私の経験に基づいた実践的なテクニックを紹介します。
ギターのコンプレッサーをかけっぱなしにする効果と設定
まずは、なぜ多くのギタリストがコンプレッサーを常にオンにしているのか、その理由と具体的な設定のコツについて深掘りしていきましょう。単なるエフェクトとしてではなく、音の土台を作る重要な役割があるんです。
コンプレッサーの常時使用の意味とは
昔の私は、コンプレッサーといえば「カッティングの時にパコパコさせるエフェクター」だと思っていました。でも、現代のギターサウンドメイクにおいて、その役割は大きく変わってきているんですよね。
常時駆動、つまり「かけっぱなし」にする最大の意味は、ギター信号の基礎品質を整える「シグナル・コンディショナー」としての役割です。
ギターという楽器は、実はものすごくダイナミックレンジ(音の強弱の幅)が広い楽器なんです。特にクリーントーンでは、弦を弾いた瞬間と、その後の音が伸びる部分とで音量差がありすぎることがあります。
これをかけっぱなしのコンプで整えてあげることで、以下のようなメリットが生まれます。
常時使用のメリット
- アンプや他のエフェクターへ送る信号レベルが安定する
- 小さな音(サスティーンやゴーストノート)が持ち上がり、聞こえやすくなる
- バンドアンサンブルの中でギターの音が埋もれにくくなる
つまり、飛び道具として使うのではなく、プリアンプのように「アンプの電源が入っている間はずっとオン」にしておくことで、扱いやすく艶のある音を常にキープできるわけですね。
かけっぱなしはずるい?不要論の真実
ネットを見ていると「コンプレッサーのかけっぱなしはずるい」「下手をごまかすためのチートだ」なんて意見を目にすることがあります。これ、気にしている方もいるかもしれませんが、私としては「全く気にする必要なし!」と断言したいですね。
確かに、コンプを深くかけすぎれば、ピッキングのニュアンスは消えてしまいます。しかし、プロがやっている「かけっぱなし」は、ダイナミクスを消すのではなく「整える」行為なんです。
CDで聴くようなプロのギターサウンドで、コンプレッサーを通っていない音なんて、ほぼ存在しないと言っても過言ではありません。
ここがポイント!
真空管アンプを大音量で鳴らした時の「サグ(Sag)」と呼ばれる独特の圧縮感を、コンプレッサーで擬似的に再現することで、弾き心地を良くするという側面もあります。これは「ズル」ではなく、気持ちよく演奏するための「工夫」ですよね。
表現力を放棄するのではなく、むしろ微細なタッチやタッピングなどのニュアンスを聴こえるレベルまで持ち上げて、表現の幅を広げるためのツールだと捉えてみてください。
常時オンにする際のアタックの設定
ここが一番重要です。かけっぱなしにする時、一番いじっちゃいけないのが「アタックタイム」の設定ミスです。これを間違えると、のっぺりとした面白みのない音になってしまいます。
結論から言うと、かけっぱなしにするならアタックタイムは「遅め(Slow)」に設定するのが定石です。
アタックタイムとは、入力信号がスレッショルドを超えてから圧縮が始まるまでの時間のこと。これを「速く」してしまうと、ピッキングした瞬間の「ジャキッ」というおいしい部分(トランジェント)まで潰してしまいます。
かけっぱなしの黄金設定
- Attack: 遅め(Slow)に設定し、ピッキングの初期衝動を逃す。
- Threshold: 強いピッキングの時だけ反応するくらい浅めに。
- Ratio: 2:1〜4:1程度の低圧縮でナチュラルに。
こうすることで、ピッキングのニュアンスはそのままに、余韻だけを綺麗にまとめてくれる理想的なサウンドになりますよ。
コンプレッサーの接続順とつなぎ方
「コンプはどこにつなぐのが正解?」というのもよくある悩みですよね。基本的には、ギターから出てすぐ、つまりシグナルチェーンの最前段に配置するのがセオリーです。
具体的には以下の順番が最も一般的です。
【基本的な接続順】
ギター ➡ コンプレッサー ➡ 歪み(オーバードライブ等) ➡ 空間系 ➡ アンプ
なぜ最初なのかというと、コンプレッサーは「入力レベルを揃える」ものだからです。歪みペダルの前に置いて信号を均一化してあげることで、その後のオーバードライブやディストーションの掛かり具合が安定し、サスティーンの長い滑らかなドライブサウンドが作れます。
ただし、Fuzz(ファズ)を使う場合だけは注意が必要です。ヴィンテージ系のファズはコンプの後だと音が細くなることがあるので、その場合は「Fuzz ➡ コンプ」の順、もしくはコンプをオフにするのが無難ですね。
歪みの前と後どっちに配置すべきか
「歪みの後につなぐのはダメなの?」というと、そんなことはありません。実は、スタジオレコーディングのような玄人好みの音が作れるテクニックでもあります。
配置による違い
- 歪みの前(Pre-Drive):サスティーンが伸び、弾きやすくなる。一般的。
- 歪みの後(Post-Drive):歪みのダイナミクスは残しつつ、全体の音量を整える。音量バランス補正に強い。
歪みの後に置くメリットは、ギターのボリュームを絞ってクリーンにした時と、フルテンで歪ませた時の「音量差」を埋められることです。
ただ、歪みで増幅されたノイズも一緒に圧縮して持ち上げてしまうので、「サーッ」というノイズがかなり目立ちやすくなります。この配置にするなら、ノイズゲートの併用がほぼ必須かなと思います。
ギターのコンプレッサーかけっぱなしにおすすめの機種
では、具体的にどのコンプレッサーを選べばいいのでしょうか?「かけっぱなし」に向いている機種は、原音を邪魔しないことや、ノイズが少ないことが条件になります。私のイチオシを紹介しますね。
ファンクのカッティングに適した設定
ナイル・ロジャースのような、キレッキレのカッティングを目指すなら、コンプの設定も少し変わってきます。この場合は「リズムの安定感」が欲しいので、少し強めにかけるのがコツです。
- Ratio: 4:1以上でしっかり圧縮。
- Attack: 速め(Fast)にして、ピークを叩く。
- Release: 速め(Fast)にして、次のストロークに備える。
こうすることで、ブラッシング音と実音の音量差が埋まり、パーカッシブでグルーヴィーなカッティングが気持ちよく決まります。
ただ、かけっぱなしにするなら、ブレンド機能(原音ミックス)がある機種を使って、パコパコしすぎないように調整するのが現代的ですね。
自然な音のBOSS CP-1Xの評価
「とにかく自然に、コンプ臭さを消したい」という方には、BOSSのCP-1Xが最強の選択肢かもしれません。これ、私も使って衝撃を受けました。
独自のMDP(Multi-Dimensional Processing)というデジタル技術を使っていて、低音弦から高音弦までを別々の帯域で処理してくれるんです。従来のアナログコンプだと「低音弦を弾くと高音弦まで一緒に潰れちゃう」という現象が起きていたんですが、CP-1Xはそれが全くありません。
BOSS CP-1Xのすごいところ
- 18V内部昇圧でヘッドルームが広く、ハイパワーなPUでも歪まない
- とにかくノイズが少なくてクリア
- インジケーターで圧縮具合が目に見えるので設定が楽
「エフェクター」というよりは、高級なスタジオ機器を通しているような感覚になれる一台です。7弦ギターやテクニカルなプレイをする方には特におすすめですね。
Xotic SP Compの使い方
もう少しアナログらしい太さが欲しい、でも使い勝手も譲れないという方には、Xotic SP Compressorが定番です。ミニサイズでボードの場所を取らないのも嬉しいポイント。
この機種の最大の特徴は「Blend(ブレンド)ノブ」がついていることです。コンプを深くかけてサスティーンを稼ぎつつ、このノブで原音(ドライ音)を混ぜていくことで「芯のあるアタック感」と「伸びやかなサスティーン」を両立できます。
裏技的な使い方
背面のDIPスイッチでアタックタイム等の微調整が可能です。かけっぱなしにするなら、ここをいじって自分好みのレスポンスに追い込むのがコツですよ。別売りの電圧ダブラーを使って15Vや18Vで駆動させると、さらに音がクリアになって化けます。
コンプレッサーのノイズ対策と原因
かけっぱなし運用で一番の敵となるのが「ノイズ」です。コンプレッサーは「小さい音を大きくする」機械なので、ギターやケーブルが拾ったノイズも一緒に大きくしてしまいます。
もし「サーッ」というノイズが気になる場合は、以下の対策を試してみてください。
- Sustain(感度)を上げすぎない: かけっぱなしなら9時〜11時方向くらいで十分なことが多いです。
- ギターのシールディング: シングルコイルの場合、ギター内部のノイズ処理を見直す。
- ノイズゲートの導入: どうしても消えない場合は、システムにノイズゲートを組み込む。
特に歪みの後にコンプを置いている場合は、ノイズゲートがないと厳しいかもしれません。まずは「必要な分だけかける」という意識を持つことが、クリアなサウンドへの第一歩です。
ギターのコンプレッサーかけっぱなしの音作り結論
ここまで、コンプレッサーのかけっぱなしについて解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。
結論として、コンプレッサーを常時オンにすることは、決して「下手をごまかすため」のものではなく、自分の出したいニュアンスを聴き手にしっかり届けるための「武器」です。
自分のプレイスタイルに合わせて、アタックタイムや配置を工夫すれば、弾いていて最高に気持ちいい音色が手に入ります。
まとめ
- 目的(整音なのか、パコパコさせたいのか)を明確にする
- アタックタイムは「遅め」が基本
- ブレンド機能やデジタル技術(MDP)を活用して、原音感を損なわないようにする
ぜひ、あなたのボードにも「かけっぱなしコンプ」を導入して、プロのような艶のあるトーンを手に入れてくださいね!
※本記事で紹介した設定や効果は一般的な目安です。機材の個体差や環境によって異なる場合がありますので、最終的にはご自身の耳で判断して音作りを楽しんでください。
