テレキャスターのピックガード交換、考えただけでワクワクしますよね。見た目をガラッと変えて、自分だけの一本にしたい!そう思って「テレキャスター ピックガード 交換」と検索している方も多いかなと思います。
でも、いざパーツを探し始めると、「あれ?なんだか規格が複雑すぎない?」という壁にぶつかります。
USA製と日本製(Japan)の違い、5穴や8穴といったネジ穴の規格、ピックアップの固定方法、さらにはベークライトみたいな素材による音やノイズの変化まで…。「このパーツ、本当に自分のギターに付くのかな?」という不安が出てきますよね。
サイズが合わなかったらどうしよう、交換のやり方が分からない、ネジ穴がズレたら「爪楊枝」で直すって本当?、コントロールプレートとの隙間はどうするの?、PDFで型紙を確認?、静電気のノイズ対策でアルミテープ?など、疑問は尽きません。
この記事では、そんなテレキャスターのピックガード交換に関する様々な「?」を、分かりやすく整理していきます。互換性のチェックから実践的なテクニックまで、私が調べたり経験したりしたことをまとめました。これを読めば、安心してパーツ選びと交換作業に進めるはずです。
テレキャスターのピックガード交換、互換性の罠
ピックガード交換で一番コワイのが「買ってみたけど合わなかった」という事態です。そうならないために、テレキャスターの「規格の迷宮」について、まずはしっかり知っておきましょう。ここが成功の8割を占めると言っても過言ではありません。
USA製と日本製(Japan)の大きな違い
一番大きな分かれ道が、ここですね。フェンダーのギターは、主にアメリカ(USA)やメキシコ(MIM)で作られる「インチ規格」のものと、日本(MIJ / CIJ)で作られる「ミリ規格」のものがあります。
見た目はそっくりでも、設計の基準が違うので、ネジ穴の位置、ネックポケットの幅、ブリッジとの隙間などが、微妙に(時には大胆に)異なります。
リプレイスメント・パーツのお店でも、「USA/Mexico用」と「日本製(Japan)用」は、明確に別の商品として売られていることがほとんどです。これを無視すると、まず間違いなくピッタリとは合いません。
規格違いに注意!
「USA用」を日本製ギターに付けようとしたり、その逆をしたりする場合、「ポン付け(無加工での取り付け)」はほぼ不可能だと思ってください。どちらかを加工する必要があります。
5穴と8穴、ネジ穴の規格
テレキャスターのピックガードには、大きく分けて「5穴」と「8穴」の2種類があります。
- 5穴: 1950年代初頭のいわゆる「ブラックガード」期に見られるヴィンテージ仕様です。ネジが少ないのですっきりしたルックスですね。
- 8穴: その後の主流となった仕様で、現在生産されている多くのテレキャスターがこのタイプです。
もちろん、この2つはネジ穴の数だけでなく位置も全く違うので、互換性は一切ありません。ご自身のギターがどちらのタイプか、まずは数えてみましょう。
さらに厄介なのが、ネジそのものの規格です。USA/メキシコ製はインチ規格(#4というサイズ)のネジ、日本製はミリ規格(M3など)のネジが使われていることが多いです。
規格の違うネジを無理やりねじ込むと、ボディ側の木材のネジ穴が壊れて「ネジがバカになる」原因になるので、絶対にやめましょう。
サイズ確認用PDFテンプレートの使い方
「自分のはUSAだけど、このサードパーティ製パーツは本当に合うかな…」そんな不安を解消する最強の手段「実寸大PDFテンプレート」です。
Warmoth(ウォームス)やDecoboom(デコブーム)といった海外のパーツメーカーのサイトでは、自社製品のピックガードの型紙をPDFで無料配布していることがあります。
PDFテンプレートによる確認手順
- メーカーのサイトから、目当てのピックガードのPDFをダウンロードします。
- PDFを印刷します。この時、プリンターの設定で「実寸(Actual Size)」または「100%」を必ず選んでください。「ページに合わせる(Fit to Page)」を選ぶと縮小/拡大されてしまい、型紙として使えません!
- 印刷された型紙を切り抜き、ご自身のギターのピックガードと重ねたり、ボディに直接あてがったりして、ネジ穴やピックアップ穴の位置が完璧に一致するかを物理的に確認します。
この一手間を惜しまないことが、通販での失敗を防ぐ一番確実な方法かなと思います。
ピックアップのマウント(吊り下げ・直付け)
見落としがちなのが、フロント(ネック)ピックアップの固定方法の違いです。これも2種類あります。
- ボディマウント(直付け): ヴィンテージ・スタイルに多い方式で、ピックアップをボディの木部に直接ネジで固定します。この場合、ピックガードにはピックアップが通る穴しか開いておらず、高さ調整用のネジ穴はありません。
- ピックガード・サスペンション(吊り下げ): ストラトキャスターのように、ピックアップをピックガードからネジで吊り下げる、現代的な方式です。ピックガードに高さ調整用のネジ穴が開いています。
交換するピックガードが、自分のギターと同じマウント方式かどうかを確認しましょう。
もし方式を変更する(例えば「吊り下げ」から「直付け」)場合、ピックアップを固定するネジの種類や、高さを保つためのゴムチューブなどが別途必要になるので注意が必要です。
素材(種類)によるノイズや音の違い
ピックガードは単なる「フタ」ではありません。素材によって、機能や音にも影響が出ることがあります。
最も一般的なのは「PVC(ポリ塩化ビニル)」、いわゆるプラスチック製です。白/黒/白の3層(3プライ)などが主流ですね。これ自体は、音響的にはほぼニュートラル(影響なし)とされています。
ただし、PVC素材の宿命とも言えるのが、静電気ノイズです。乾燥した時期に演奏中、ピックガードに指が触れると「パチッ」「バリバリ」というノイズが出ることがあります。
これは、絶縁体であるプラスチック表面に静電気が溜まり、それが放電するためです。悩まされている方も多いのではないでしょうか。(この対策は後ほど!)
ベークライトやアルミ素材の音質特性
ヴィンテージ志向の方や、音にこだわりたい方が選ぶ素材もあります。
ベークライト(フェノール樹脂)
50年代初頭の「ブラックガード」に使われていた素材です。現代のプラスチックとは違い、紙や布を樹脂で固めたもので、非常に硬く、独特の質感があります。(ラッカー塗装されていることが多いです)
その硬さゆえに、アタック感が強まり、高域の反応が良くなる、パーカッシブなトーンになる…と言われています。この「音の変化」を狙って交換するマニアも多い、ロマンあふれる素材ですね。
アノダイズド・アルミニウム(陽極酸化処理)
金属製のピックガードです。これは見た目のインパクトも大きいですが、機能的なメリットがあります。
最強のノイズ対策です。素材自体が導電性なので、ピックガード全体が巨大なシールド板として機能し、外来ノイズ(ハムノイズなど)を強力にカットしてくれます。
アルミ素材の副作用?
ただし、金属板がピックアップの磁界に影響を与えることで「渦電流(うずでんりゅう)」が発生し、結果として高域が少し減衰して、音がやや丸くなる(ウォームになる)という副作用も報告されています。これを「音が鈍る」と捉えるか、「音がまとまる」と捉えるかは、好み次第かもしれません。
テレキャスターのピックガード交換、実践テクニック
さて、互換性もバッチリなピックガードが手に入ったら、いよいよ交換作業です。ここでは、交換の基本的な流れと、作業中によくあるトラブルへの対処法(テクニック)を紹介します。
交換のやり方と必要な工具
基本的な作業自体は、ドライバー1本あればできます。
【必要な工具】
- プラスドライバー(ネジ頭にピッタリ合うもの。サイズが合わないとネジをなめます)
- (必要に応じて)ニッパー、カッター
- (トラブル時に)木工用ボンド、爪楊枝
【基本的な交換手順】
- 弦を緩めるか、外します。(ネックピックアップを交換しないなら、緩めるだけでも作業できます)
- 古いピックガードのネジを全て外します。
- (もしあれば)フロントピックアップの高さ調整ネジを外し、ピックアップをピックガードから分離します。
- ピックガードをゆっくりと持ち上げます。(配線が引っかかっていないか注意!)
- 新しいピックガードに、ピックアップを取り付けます。
- 配線を元の位置に収めながら、新しいピックガードをボディに乗せます。
- 全てのネジ穴が合っていることを確認し、ネジを締めていきます。
作業のコツ
ネジを締める前に、コントロールプレート(スイッチやノブが付いた金属板)のネジも少し緩めておくのがオススメです。こうすることで、ピックガードとコントロールプレートの位置関係を微調整しやすくなります。(詳細は後述)
静電気ノイズを防ぐアルミテープの貼り方
新しいピックガードがPVC素材の場合、取り付ける「前」に、ぜひやっておきたいのがこの静電気対策です。
やり方は簡単。ピックガードの裏側(特にコントロールキャビティやピックアップ周辺)に、「導電性アルミテープ」(ホームセンターや楽器店で売っています。銅箔テープでもOK)を貼るだけです。
ただし、一番重要なのは、貼ったアルミテープをギターのアース(グラウンド)にしっかり落とすことです。テープの一部が、コントロールポットの金属製の背中や、アース線が繋がっている部分に確実に接触するように貼らないと、効果はありません。
ネジ穴が合わない時の爪楊枝補修術
「バッチリ規格が合うはずだったのに、1本だけネジ穴が微妙にズレる…」 「元のネジ穴が緩くなってて、ネジが空回りする(バカになった)!」
これは本当によくあるトラブルですが、心配無用。「爪楊枝(と木工用ボンド)」で完璧に修復できます。
爪楊枝リペアの手順
- ズレた、あるいはバカになったネジ穴に、木工用ボンド(タイトボンドなどが強力でオススメ)を少量、流し込みます。
- その穴に、爪楊枝を(ボンドを塗りつけながら)奥まで差し込みます。
- 穴の入り口で爪楊枝を折り、さらに詰められるならもう一本…と、穴を木で完全に埋めます。
- ボンドがしっかり乾燥するまで待ちます。(数時間〜一晩)
- 乾燥したら、ボディ表面からはみ出た爪楊枝やボンドを、カッターなどで慎重に平らにします。
- これで、そこは「新しい木材」になりました。新しいピックガードを当てて、正しい位置にキリなどで慎重に下穴を開け直し、ネジを締めれば完了です。
これは単なる応急処置ではなく、リペアマンも使う恒久的な修理方法です。怖がらずに挑戦してみてください。
(参照:自分でできる!エレキギターのピックガード交換と穴埋め・下穴のやり方を解説|サウンドハウス)
コントロールプレートとの隙間をなくす調整
テレキャスターの構造上、ピックガードとコントロールプレートは隣り合っています。ここの「境界線」がビシッと揃っていると、非常にカッコイイですよね。
しかし、パーツの精度によっては、ここに醜い隙間ができたり、逆にパーツ同士が重なってピックガードが浮いてしまったりすることがあります。
これを防ぐコツは、ピックガードのネジと、コントロールプレートのネジ、その両方を「緩めた状態」で仮置きすること。そして、両者のカーブが一番美しく揃う「ベストポジション」を探し当ててから、両方のネジを本締めするのです。
それでもダメな場合は…
パーツの個体差でどうしても干渉してしまう場合は、ヤスリでピックガード側を慎重に削って調整する必要があります。ボディ側は絶対に削らないように!
ネックポケット周りのフィッティング加工
もう一つ、干渉が起きやすいのがネックポケット(ネックがはまっている付け根)の周りです。
特にネックを交換していたり、安価なギターに高精度なピックガードを付けようとすると、ネックの幅が広くてピックガードが入らない、という事態が起こりえます。
この場合の鉄則も同じです。「高い方(ネックやボディ)は削らず、安い方(ピックガード)を削る」です。
ネックの形に合わせて、ピックガード側を紙やすり(サンドペーパー)などで慎重に、少しずつ削ってフィットさせていきます。
成功するテレキャスターのピックガード交換
いかがでしたか?
テレキャスターのピックガード交換は、単にネジを付け替えるだけの簡単な作業かと思いきや、実は「互換性」という大きな落とし穴がある、かなり奥の深いカスタマイズです。
成功の秘訣は、作業前の「徹底した下調べ」に尽きると思います。自分のギターの規格(USA/Japan)、ネジ穴の数(5穴/8穴)、ピックアップのマウント方式を正確に把握すること。不安なら、PDFテンプレートで物理的に確認すること。
それさえクリアすれば、静電気対策のアルミテープや、万が一の爪楊枝補修術は、むしろ「ギターをいじる楽しさ」の一部になるはずです。
不安な時はプロに相談を
とはいえ、ご自身のギターが非常に高価なヴィンテージ品であったり、作業にどうしても自信が持てない場合は、無理をしないでください。 大切なギターを守るためにも、信頼できるリペアショップや専門家にご相談ください。それも賢明な判断だと思います。
ぜひ、あなただけのお気に入りのルックスとサウンドを手に入れてくださいね。応援しています!
