エレキギターを自宅で楽しみたいけれど「アンプに繋いでいない生音でも、もしかしてうるさいのでは?」と不安に感じていませんか。
実際、エレキギターの生音はどのくらいの音量(db)なのか、ご近所迷惑になっていないか気になりますよね。特にアパートや集合住宅では、練習中に下の階へ音が響いていないか心配になることもあるでしょう。また、一軒家であっても、音漏れによって思わぬトラブルに発展する可能性はゼロではありません。
この記事では、そんな悩みを解決するために、エレキギターの生音を効果的に消す方法から、気兼ねなく練習に集中するための具体的な防音対策まで、詳しく解説していきます。
エレキギターの生音は本当にうるさい?
- エレキギターの生音はどのくらい?
- アンプなしでもうるさいと感じる理由
- 生音での練習が推奨されないワケ
- アンプを通した音量との具体的な比較
エレキギターの生音はどのくらい?
エレキギターの生音は、一般的に60~75デシベル(dB)程度とされています。この数値だけではピンとこないかもしれませんが、私たちの身の回りにある音と比較すると、その大きさがより明確になります。
音の例 | 音量(dB)の目安 |
エレキギターの生音 | 60~75 dB |
普通の会話 | 約60 dB |
掃除機 | 約70 dB |
走行中の電車内 | 約80 dB |
ピアノの演奏 | 約80~90 dB |
エレキギター(アンプ使用時) | 約80~100 dB以上 |
表を見ると分かる通り、エレキギターの生音は普通の会話よりも大きく、掃除機の音に匹敵するレベルです。走行中の電車内の騒音にも近い音量であり、決して「静か」とは言えません。
もちろん、この数値はピッキングの強さや弾き方によって変動します。しかし、一般的な演奏でも、周囲が静かな環境であれば十分に「うるさい」と感じられかねない音量であることは、まず認識しておくべきでしょう。
最近ではスマートフォンのアプリでも手軽に騒音レベルを測定できるため、一度ご自身の演奏がどの程度の音量なのかを客観的に確認してみるのもおすすめです。
アンプなしでもうるさいと感じる理由
エレキギターの生音が数値以上にうるさいと感じられるのには、いくつかの理由があります。ただ単に音量が大きいというだけでなく、音の特性や聞こえ方が関係してくるのです。
音の周波数
ギターの弦が発する「カシャカシャ」「シャリン」といった高音域の金属音は、人の耳に届きやすく、特に静かな環境では際立って聞こえがちです。
振動を伴う音
ピッキングの衝撃や弦の振動は、ギターのボディを通じて床や壁に伝わることがあります。これは「固体伝搬音」と呼ばれ、空気を伝わる音(空気伝搬音)よりも建物の構造体を伝わりやすいため、隣の部屋や下の階へ直接的に響いてしまう可能性があります。アパートやマンションのような集合住宅では、この固体伝搬音への配慮が特に大切になります。
時間帯
日中の活動的な時間帯であれば他の生活音に紛れて気にならない音でも、人々が寝静まった深夜や早朝には、わずかな物音でも非常によく響きます。このような理由から、たとえアンプを使っていなくても、エレキギターの生音は周囲にとって迷惑な騒音となり得るのです。
生音での練習が推奨されないワケ
エレキギターの教則本などで「生音での練習は避けるべき」と言われることがありますが、これには明確な根拠があります。生音での練習は、騒音の問題だけでなく、ギタリスト自身の上達を妨げる可能性があるからです。
最大のデメリットは、ピッキングの力加減に悪い癖がついてしまうことです。生音はアンプを通した音に比べて圧倒的に音量が小さいため、無意識のうちに十分な音量を得ようとして、必要以上に強く弦を弾いてしまいがちです。力んだピッキングは、細やかなニュアンスの表現や速いフレーズを弾く際の妨げになります。
また、ミュート技術がおろそかになる点も指摘できます。エレキギター、特に音を歪ませるサウンドでは、弾いていない弦からノイズが出ないように、右手や左手で弦に触れて余計な音を消す「ミュート」が不可欠です。
しかし、生音ではノイズ自体がほとんど発生しないため、ミュートの重要性を意識した練習ができません。アンプに繋いだときに初めてノイズの多さに気づき、愕然とすることになりかねないのです。
一方で、生音での練習にもメリットはあります。アンプを通すとごまかせてしまうような、ピッキングの精度の低さや、フィンガリングの力みから生じる不要な音(フレットノイズなど)を、生音ならシビアに聞き取ることができます。
このため、自身の演奏の粗を確認する「確かめ算」的な用途としては有効と言えます。ただし、基本的なピッキングの感覚が身についていない初心者の段階では、デメリットの方が大きいと考えられています。
アンプを通した音量との具体的な比較
エレキギターの生音とアンプを通した音では、音量に圧倒的な差があります。アンプは音を増幅するための装置であり、その役割を果たすことで、ギターのサウンドは全く異なるレベルの迫力を持つようになります。
前述の通り、生音の音量は60~75dB程度ですが、アンプを通すとどう変化するのでしょうか。
自宅練習でよく使われる5W~30W程度の小型アンプでも、ボリュームを少し上げるだけで音量は簡単に80~90dBに達します。これは走行中の電車内や、かなり本格的に演奏した場合のピアノの音量に匹敵し、防音対策が施されていない一般的な住宅では、間違いなく近隣への騒音となるレベルです。
さらに、音楽スタジオに設置されているような30W~100Wクラスの大型アンプを使用した場合、音量は100dBを軽々と超えます。これは、電車が通過する際のガード下や、ライブハウスの最前列で聞く音の大きさに相当し、聴覚にダメージを与える可能性もあるほどの爆音です。
このように、アンプを使用するということは、生音とは比較にならないほど大きな音を出す行為です。自宅でアンプから音を出す場合は、音量を最小限に絞るか、後述するヘッドホンを活用するなどの対策が必須となります。
生音が「掃除機の音」レベルだとすれば、アンプを通した音は「工事現場の騒音」レベルに匹敵すると考えておくと良いでしょう。
エレキギターの生音の効果的な防音対策
- 生音を小さく消す便利な防音グッズ
- ヘッドホンを活用した練習方法
- 部屋に施す防音対策のアイデア
- アパートで実践できる防音の工夫
- 下の階への配慮は特に重要
- 一軒家でも油断できない音漏れ箇所
- スタジオやカラオケを利用するのも手
- まとめ:エレキギターの生音と上手に付き合う
生音を小さく消す便利な防音グッズ
エレキギターの生音そのものを小さくするためには、専用の防音グッズを活用するのが非常に効果的です。これらは手軽に導入でき、騒音レベルを大幅に下げることが期待できます。
サイレントピック
本来はアコースティックギターの音量を抑えるために開発されたピックですが、エレキギターにも問題なく使用可能です。通常のピックに比べて非常に薄く、しなやかな素材で作られているのが特徴です。
この柔軟性によって弦を弾いたときの抵抗が少なくなり、弦の振動が抑えられることで、生音の音量を約半分程度にまで低減させると言われています。
ただし、その特殊な素材ゆえに、弾き心地は通常のピックと大きく異なります。ペラペラとした感触のため、慣れるまではピッキングのニュアンスが出しにくいと感じるかもしれません。あくまでも音量を抑えるための練習用アイテムと割り切って使用するのが良いでしょう。
弱音器(ギターミュート)
こちらもアコースティックギター用として販売されていることが多いですが、エレキギターにも有効な消音グッズです。クリップ状の本体にスポンジが付いており、これをブリッジ(弦をボディに固定しているパーツ)の近くで弦を挟むように取り付けます。
スポンジが直接弦の振動を吸収することで、サステイン(音の伸び)を短くし、余分な共振をカットします。この仕組みによって、生音の音量を効果的に下げることができます。
柔らかい素材でできているため、ギター本体を傷つける心配もありません。ピッキングの感覚を変えずに音量だけを抑えたい場合に適したアイテムです。
ヘッドホンを活用した練習方法
周囲への音漏れを気にせず、かつ本格的なギターサウンドで練習したい場合に最もおすすめなのが、ヘッドホンを活用する方法です。これにより、ギター本体から出るわずかな生音以外、外にはほとんど音が漏れません。
この方法で鍵となるのが「ヘッドホンアンプ」です。これは、大型のスピーカー(キャビネット)を持たない、ヘッドホン出力に特化した小型のアンプです。ギターとヘッドホンの間に接続して使用します。
ヘッドホンアンプには様々なタイプがあります。
- プラグインタイプ: ギターのジャックに直接差し込む超小型のものです。手軽で場所を取らず、最も人気のあるタイプと言えます。
- ヘッドホン内蔵タイプ: ヘッドホン自体にアンプ機能が内蔵されているモデルです。別途アンプを用意する必要がなく、ケーブル一本で完結します。
- マルチエフェクタータイプ: 様々な音色変化(エフェクト)やアンプのシミュレーション機能を搭載した、より高機能なモデルです。これ一台で多彩なサウンドメイクが楽しめます。
これらのヘッドホンアンプを使えば、深夜でも周囲を気にすることなく、まるでスタジオで大型アンプを鳴らしているかのようなリアルなサウンドで練習に没頭できます。
ただし、これを活用してもギター本体から出る60dB程度の生音は消えません。そのため、前述のサイレントピックや弱音器と併用することで、防音対策はより万全になります。
部屋に施す防音対策のアイデア
ギター本体の音を小さくする対策と並行して、部屋自体の防音性能を高めることも、騒音トラブルを避ける上で有効です。本格的な工事から手軽なDIYまで、様々な方法が考えられます。
比較的安価で手軽にできる対策としては、吸音材や遮音シートの活用があります。音は窓やドアの隙間から漏れやすいため、まずはこれらの場所への対策が効果的です。
- 防音カーテン: 厚手で高密度の生地でできており、窓からの音漏れを軽減します。遮光機能や断熱機能を兼ね備えているものも多くあります。
- 防音シート・隙間テープ: ドアや窓の隙間に貼り付けることで気密性を高め、音漏れを防ぎます。
- 吸音パネル・パーテーション: 壁に貼り付けたり、自分の周りを囲うように設置したりすることで、室内の音の反響を抑え、外に漏れる音を和らげます。
費用をかけてより本格的な対策を行うのであれば、専門業者による防音工事という選択肢もあります。壁や床、天井の内部に遮音材や吸音材を施工し、窓を二重窓に、ドアを防音ドアに交換するといった工事です。
部屋の大きさや求める防音性能にもよりますが、費用は数十万円から数百万円程度かかることが一般的です。賃貸物件では難しい方法ですが、持ち家で本格的に音楽を楽しみたい場合には最も確実な方法と言えます。
アパートで実践できる防音の工夫
アパートやマンションなどの集合住宅では、特に念入りな防音対策が求められます。大掛かりな工事ができない賃貸物件では、原状回復が可能な範囲での工夫が中心となります。
まず基本となるのは、練習する時間帯への配慮です。たとえ防音対策を施していても、住民が寝静まっている早朝や深夜の演奏は絶対に避けましょう。一般的には、午前9時~午後8時頃までが常識的な範囲と考えられますが、近隣に小さなお子さんや夜勤の方が住んでいる可能性も考慮し、より慎重に行動することが大切です。
次に、窓やドアを必ず閉めて練習することです。これは最も簡単で基本的な対策ですが、効果は決して小さくありません。可能であれば、音漏れの主要因となる窓から離れた、部屋の中央で練習するよう心がけましょう。
前述の防音グッズの活用も、アパート暮らしには非常に有効です。
- 床に防音カーペットや防音マットを敷く。
- 壁に粘着テープやピンで取り付けられる吸音パネルを設置する。
- 窓に防音カーテンを取り付ける。
これらの対策を組み合わせることで、音漏れを最小限に抑えることが可能です。また、事前に「楽器可」や「楽器相談可」の物件を探して引っ越すというのも、根本的な解決策の一つになります。
下の階への配慮は特に重要
集合住宅において、隣の部屋への音漏れ以上にトラブルになりやすいのが、下の階への騒音です。壁を伝わる音よりも、床を通して直接伝わる**「固体伝搬音」は、想像以上に響きやすい**ため、特別な配慮が求められます。
ギター演奏においては、ピッキングの衝撃音そのものよりも、足でリズムを取る音や、アンプを床に直置きした際の振動などが主な原因となります。これらの対策として最も効果的なのが、床に防振・防音効果の高いマットを敷くことです。
具体的には、ゴムや特殊な素材でできた重量のある「防振マット」の上に、カーペットタイプの「防音タイルカーペット」などを重ねて敷くと、振動と音の両方を効果的に吸収できます。ホームセンターやインターネット通販で様々な製品が販売されているため、予算や部屋の状況に合わせて選ぶと良いでしょう。
また、ギターの練習以前の心掛けとして、室内ではスリッパを履く、かかとからドスドスと歩かないといった、日常生活における配慮も忘れてはいけません。下の階の住民との良好な関係を築くためにも、日頃から音に対する意識を高く持っておくことが大切です。
一軒家でも油断できない音漏れ箇所
「一軒家だから、多少の音は大丈夫だろう」と考えるのは早計かもしれません。確かに集合住宅に比べれば音の問題は起こりにくいですが、建物の構造や隣家との距離によっては、十分に騒音トラブルの原因となり得ます。
一軒家で最も音漏れしやすい場所は、やはり窓です。窓が開いていれば音は筒抜けですし、閉めていてもガラス一枚では十分な遮音性は期待できません。
特に、隣家と窓が向かい合っているような配置の場合は注意が必要です。対策としては、防音カーテンの設置や、二重窓(内窓)へのリフォームが効果的です。
次に挙げられるのが、換気口や通気口です。これらは構造上、外と直接つながっているため、音の通り道になりやすい箇所です。
また、建物の構造自体も音漏れに影響します。一般的に、コンクリート造(RC造)の建物は遮音性が高いですが、木造や鉄骨造の建物は壁が薄く、音が透過しやすい傾向にあります。たとえ一軒家であっても、壁一枚隔てたすぐ隣に隣家の寝室がある、といったケースも考えられます。
ギターを弾く際には、どの部屋で弾くかを選ぶことも大切です。隣家から最も離れた部屋を選んだり、クローゼットなどの物が多い部屋(物が音を吸収してくれるため)を選んだりするだけでも、音漏れのリスクを減らすことができます。
スタジオやカラオケを利用するのも手
自宅での防音対策に限界を感じる場合や、たまには気兼ねなく大きな音で演奏したいという場合には、外部の施設を利用するのが最良の選択肢となります。
音楽スタジオ
最も一般的なのが、リハーサルスタジオを個人練習で利用する方法です。多くのスタジオでは、バンド練習よりも割安な個人練習料金が設定されています。
スタジオには、普段自宅では使えないような有名メーカーの高級なアンプやエフェクターが常設されており、大音量でギターを鳴らす爽快感を味わうことができます。アンプを通した本当の音作りや、ライブを想定した練習には最適な環境です。
カラオケボックス
より手軽で安価な選択肢として、カラオケボックスも挙げられます。スタジオと違ってギター用のアンプはありませんが、備え付けの音響設備から好きな曲を流し、それに合わせて演奏する「コピー曲」の練習には非常に便利です。最近では、楽器の練習を歓迎している店舗も増えています。
ただし、全てのカラオケ店で楽器の持ち込みや演奏が許可されているわけではありません。トラブルを避けるためにも、利用する前には必ず店舗に電話などで確認を取るようにしましょう。
自宅での練習と外部施設の利用をうまく使い分けることで、ストレスなくギターライフを楽しむことができます。
まとめ:エレキギターの生音と上手に付き合う
- エレキギターの生音は約60~75dBで掃除機と同程度の音量
- アンプなしでも高音域の音や振動でうるさいと感じられる
- 生音での練習はピッキングやミュートに悪い癖がつく可能性がある
- アンプを通すと音量は80~100dB以上に達し防音対策が必須
- サイレントピックを使えば生音を半分程度に抑えられる
- 弱音器(ミュート)は弦の振動を吸収して音量を下げる
- ヘッドホンアンプの活用が最も効果的な防音練習法
- ヘッドホンを使っても本体の生音は消えないため併用が理想
- 防音カーテンや吸音パネルは手軽にできる部屋の対策
- アパートでは時間帯への配慮と窓・ドアを閉めるのが基本
- 下の階へは防振・防音マットで振動音対策を行う
- 一軒家でも窓や換気口からの音漏れには注意が必要
- 自宅での練習が難しい場合は音楽スタジオの利用がおすすめ
- カラオケボックスは安価でコピー曲の練習に適している
- 外部施設を利用する際は楽器演奏が可能か事前に確認する