ベース演奏の中でも「スラップ奏法」は、アタックの強い音とリズミカルなプレイが特徴的なテクニックです。しかし、スラップできないベーシストも多く、練習してもなかなか上手くいかずに悩んでいる人は少なくありません。
一方で「スラップばかりの演奏にはうんざり」「バンドの中でスラップがうざいと感じられてしまう」といった意見もあります。スラップは目立つ奏法だからこそ、楽曲の雰囲気やバンド全体のバランスを考えて適切に使い分けることが求められます。
この記事では、スラップできないベーシストが知るべき基本、スラップができるようになるためのコツ、スラップの種類やおすすめのベースについて詳しく解説します。スラップ奏法を習得し、表現の幅を広げることで、より魅力的なベーシストを目指しましょう。
スップできないベーシストが知るべき基本
- スラップとは?チョッパーとの違い
- できない原因と改善策
- スラップの種類
- スラップ奏法のコツ
スラップとは?チョッパーとの違い
スラップとは、エレキベース特有の演奏技法の一つであり、親指で弦を叩く「サムピング」と、指で弦を引っ張りはじく「プル」を組み合わせることで、パーカッシブなサウンドを生み出す奏法です。この技法によって、通常の指弾きやピック弾きでは得られない強いアタック音と独特のリズム感を演出できます。特に、ファンクやロック、フュージョンなどのジャンルで頻繁に用いられ、派手で目立つベースラインを作り出すことが可能になります。
このスラップ奏法ですが、日本では「チョッパー」と呼ばれることもあります。実際には、この二つの言葉はほぼ同じ意味で使われますが、厳密に言えば「チョッパー」は日本特有の呼称です。1970年代から1980年代にかけて、日本の音楽シーンでは、スラップ奏法が一般的ではなく、当時のベーシストたちは「チョッパー」という独自の呼び名を定着させました。しかし、海外では「スラップ(Slap)」という名称が一般的であり、現在では日本でも「スラップ奏法」という言い方が主流になっています。
さらに、奏法の違いとして、チョッパーという言葉が使われていた時代には、比較的シンプルなサムピングとプルを中心としたリズムフレーズが多かったのに対し、現代のスラップ奏法は「ダブルサム」や「ロータリー奏法」などの複雑なテクニックが取り入れられています。そのため、チョッパーはスラップの一形態とも考えられますが、現在では両者を同義として扱うことが一般的です。
このように、スラップは単なるベースの演奏技法にとどまらず、音楽ジャンルや時代によって進化してきた奏法です。特に、ベースラインが曲のグルーヴを大きく左右するファンクやロックの分野では、スラップをマスターすることで、よりダイナミックな演奏が可能になります。ベースの表現力を高めたい方にとって、ぜひ挑戦したい奏法の一つです。
できない原因と改善策
スラップ奏法に挑戦してみたものの、なかなか思い通りに音が出せず、挫折してしまう人は少なくありません。スラップができない原因は、大きく分けて「フォーム」「指の使い方」「楽器のセッティング」「リズム感」「練習方法」の5つに分類できます。それぞれの問題点を明確にし、適切な対策を取ることで、スラップ奏法を習得しやすくなります。
1.フォームが適切でない
最も多い原因は「フォームが適切でないこと」です。スラップでは親指を使って弦を叩くサムピングが基本になりますが、親指を真下に向けすぎると力が分散し、うまく音が鳴らないことがあります。理想的なフォームとしては、親指の側面を弦に当て、軽く斜めにヒットさせることがポイントです。さらに、手首の動きが固いとリズムがぎこちなくなるため、力を抜いて柔軟に動かせるように意識しましょう。
2.指の使い方が適切でない
「指の使い方が適切でない」ことも、スラップの習得を妨げる要因の一つです。特に、サムピングの後に続くプルの動作が弱いと、スラップ特有の歯切れの良い音が出ません。プルの際は、指を軽く弦の下に引っ掛けるようにし、必要以上に強く引っ張らないようにしましょう。また、連続したフレーズを弾く際には、サムピングとプルをスムーズに切り替えることが重要です。
3.楽器のセッティングが適切でない
「楽器のセッティング」もスラップのしやすさに影響します。特に、弦高(弦と指板の距離)が高すぎると、サムピング時の打撃が弱まり、クリアな音が出にくくなります。一般的には、弦高を低めに調整するとスラップのしやすさが向上します。また、スラップに適した弦を選ぶことも重要で、ステンレス弦やミディアムゲージの弦は、スラップ向きのアタック音を得やすいです。
4.リズム感がズレている
「リズム感のズレ」もスラップがうまくいかない原因になります。スラップは打楽器的な要素が強いため、リズムの正確性が求められます。メトロノームを使いながら練習することで、リズムの安定感を養うことができます。特に、最初はゆっくりとしたテンポで確実に音を出す練習を行い、徐々にスピードを上げていくことが効果的です。
5.練習方法が間違っている
「練習方法が間違っている」と、上達に時間がかかってしまいます。スラップを習得するためには、ただ弦を叩くだけでなく、正しいフォームとリズムを意識しながら繰り返し練習することが重要です。最初は単音のサムピングから始め、慣れてきたらプルを加え、少しずつフレーズを構築していくのが効果的です。また、スラップ奏法が際立つ楽曲を聴き、プロの演奏を参考にすることで、スラップの感覚を掴みやすくなります。
これらのポイントを意識しながら練習を続けることで、スラップ奏法をスムーズに習得しやすくなります。
スラップの種類
スラップ奏法にはいくつかの種類があり、それぞれ異なる音色や演奏スタイルを生み出します。スラップを効果的に取り入れるためには、それぞれの技法の特徴を理解し、適切な場面で使い分けることが大切です。
1.サムピング
サムピング(Thumping)は、スラップ奏法の中でも最も基本的で重要な技術の一つです。この奏法では、親指を使って弦を叩くように弾くことで、パーカッシブな音を生み出します。特に、ファンクやロックなどのジャンルでは、サムピングを活用することで独特のリズム感を強調することができます。
サムピングの基本は、親指の付け根部分を軸にして弦に対して垂直に打ち込むことです。親指の角度や当て方によって音のニュアンスが変わり、軽く当てるとソフトな音、強く当てるとアタックの強い音が得られます。また、サムピングを行う際には、手首のスナップを使って弾くことで、力を無駄に使わずに効率的な演奏が可能になります。
この奏法を習得する上で重要なのは、余計な力を入れないことです。初心者の場合、力を入れすぎると音が潰れてしまったり、指が弦に引っかかってリズムが乱れてしまうことがあります。適度な力加減を意識しながら、ゆっくりとしたテンポで練習すると、スムーズに弦を叩く感覚をつかめるでしょう。
サムピングはスラップ奏法の基礎となる技術であり、多くのスラップフレーズの土台となります。正しいフォームとリズム感を身につけることで、より洗練されたスラッププレイを実現できるでしょう。
2.プル
プル(Pull)は、サムピングと組み合わせることでスラップの特徴的な音を作り出す重要な技術です。プル奏法では、主に人差し指や中指を使い、弦を引っ張って弾くことで明るく鋭い音を生み出します。これは、ギターでいうチキンピッキング(指で弦を引っ張る奏法)に近い動作ですが、よりダイナミックな音が求められるのが特徴です。
プルを行う際には、指で弦を引っ張りすぎると不要なノイズが発生し、逆に力が弱すぎると十分なアタック感が得られません。適度な力で弦を引き上げ、指を自然に離すことで、はっきりとしたアタック音を生み出すことができます。弾いた後に指を素早く戻すことで、次のフレーズへの移行もスムーズになります。
この奏法を習得する際には、サムピングと組み合わせたリズム練習を行うと良いでしょう。例えば、サムピングで低音弦を叩いた後に、プルで高音弦を弾くという基本的なパターンを繰り返すことで、スラップ独特のリズム感を養うことができます。
プルはスラップ奏法の華やかさを演出する重要な技術です。サムピングとバランスよく組み合わせることで、よりグルーヴィーでダイナミックなプレイを実現できるでしょう。
3.サムアップ
サムアップ(Thumb Up)は、親指を使って弦を上方向に弾くスラップ奏法の一種です。一般的なサムピングが弦を下方向に叩くのに対し、サムアップは逆の動きで音を出します。この奏法を活用することで、より速いフレーズや流れるようなスラッププレイが可能になります。
サムアップの最大のメリットは、ダウンとアップを組み合わせることでリズムの密度を高められる点です。通常のサムピングだけでは音の間隔が一定になりやすいですが、サムアップを取り入れることで、16分音符などの細かいリズムをスムーズに演奏できるようになります。
この技術を習得するためには、まずサムピング(ダウン)とサムアップ(アップ)の動作を個別に練習し、その後組み合わせて練習するのが効果的です。親指の動きがぎこちなくならないよう、手首のスナップを使ってスムーズに弦を弾くことがポイントとなります。
サムアップを取り入れることで、スラップの表現力が大きく広がります。特に、速いテンポの楽曲や細かいフレーズを演奏する際に活用すると、スピード感とダイナミクスを兼ね備えたプレイが可能になるでしょう。
4.ロータリー
ロータリー(Rotary Slap)は、スラップ奏法の中でも少し特殊な技術であり、手首を回転させるように動かして弦を弾く奏法です。通常のサムピングやプルとは異なり、親指と指の動きを組み合わせて行うため、独特のグルーヴ感が生まれます。
この奏法の特徴は、手首をスナップさせることで、複数の弦を連続して弾ける点にあります。通常のスラップよりも柔らかく、リズミカルなサウンドを生み出しやすいのが魅力です。特に、ゴーストノート(弦を軽くミュートして出す音)と組み合わせることで、よりファンキーなニュアンスを加えることができます。
ロータリーを習得するためには、まず手首の回転を意識したスラップの動きを練習することが重要です。親指のダウンとアップ、指のプルを連続的に行うことで、スムーズな動きを作り出せます。これにより、スラップ特有の跳ねるようなリズムが強調され、より表現力のある演奏が可能になります。
この奏法を活用することで、スラップのバリエーションが増え、より個性的な演奏ができるようになるでしょう。
5.ダブルプル
ダブルプル(Double Pull)は、通常のプル奏法をさらに発展させた技術であり、一度の動作で二回のプルを行うことで、より速いフレーズを演奏できるようになります。この奏法は、特にリズムの細かいファンクベースや超高速スラップフレーズに適しています。
ダブルプルの基本は、人差し指と中指を交互に使い、それぞれの指で弦を引っ張る動作を素早く行うことです。この奏法を活用することで、16分音符や32分音符のフレーズも容易に演奏できるようになり、スラップの迫力をさらに増すことができます。
初心者がダブルプルを習得する際は、まずゆっくりとしたテンポで練習し、均等なリズムで音を出せるようにすることが重要です。無理に速く弾こうとすると音がばらつきやすくなるため、安定した音を出せるようになるまで丁寧に練習を重ねることが求められます。
この技術を習得すれば、スラップの表現力が格段に向上し、より高度な演奏が可能になるでしょう。
スラップ奏法のコツ
スラップ奏法をマスターするためには、いくつかの重要なポイントを押さえることが大切です。ただ力任せに弦を叩いたり引っ張ったりするだけでは、思うような音が出ず、ぎこちない演奏になってしまいます。ここでは、スラップをスムーズに演奏するための基本的なコツを紹介します。
1.親指の使い方を工夫する
スラップの基本となる「サムピング」では、親指で弦を叩く動作を行いますが、親指の当て方が適切でないと音がこもったり、響かなかったりします。ポイントは、親指の関節を軽く曲げた状態で、弦に対して少し斜めに当てることです。これにより、弦がフレットに適度にぶつかり、クリアな音を出すことができます。また、弦を叩いた後はすぐに親指を離すことで、音の抜けがよくなります。
2.手首の柔軟性を意識する
スラップ奏法では、指だけでなく手首のスナップを活かすことがポイントになります。手首が硬いと動作がぎこちなくなり、リズムが不安定になりがちです。スムーズなサムピングを行うためには、手首をリラックスさせた状態で、軽く振るようにして弾くことを意識しましょう。特に、手首の回転を利用することで、より少ない力で効率的に弦を叩くことができます。
3.リズムの取り方を意識する
スラップは、通常の指弾きやピック弾きと比べてリズムのズレが目立ちやすい奏法です。特に、サムピングとプルのタイミングが合わないと、全体のリズムが崩れてしまいます。そのため、メトロノームを使った練習が非常に効果的です。最初はゆっくりとしたテンポで、一音一音をしっかりと意識しながら弾くことを心がけましょう。慣れてきたら、徐々にテンポを上げていくことで、安定したリズム感を身につけることができます。
4.力を抜いて演奏する
スラップ奏法は派手なアクションが特徴的ですが、無駄な力を入れると指や手首が疲れやすくなり、音の粒もバラついてしまいます。特に、初心者は力を入れすぎてしまいがちなので、弦を軽く叩くだけでもしっかりと音が出ることを意識すると良いでしょう。
5.練習を継続する
練習を継続することがスラップ上達の鍵となります。最初は思うように音が出せなくても、正しいフォームとコツを意識して練習を重ねることで、少しずつスムーズに演奏できるようになります。スラップのフレーズを含む楽曲を聴き、プロのベーシストの演奏を研究することも、スラップ奏法を習得するうえで効果的な方法です。
スラップできないベーシストが注意すべきこと
- スラップはうざい?バンドでのバランスを考える
- サムピングがカチカチ鳴る原因と対処法
- スラップが目立つおすすめの楽曲
- スラップができると広がる演奏の可能性
- スラップしやすいおすすめのベース5選
スラップはうざい?バンドでのバランスを考える
スラップ奏法は、派手でアグレッシブな音が特徴ですが、そのインパクトの強さゆえに「うるさい」「うざい」と感じる人もいます。特にバンドの中で過度にスラップを多用すると、他の楽器とのバランスが崩れ、曲全体のまとまりが悪くなってしまうことがあります。ここでは、バンド演奏におけるスラップの適切な使い方について解説します。
まず、バンドの楽曲のスタイルを考慮することが重要です。スラップはファンクやロックなどのリズムが際立つジャンルでは効果的に機能しますが、ジャズやバラードのような落ち着いた楽曲では、音が浮いてしまう可能性があります。スラップを入れることで、曲の雰囲気を壊してしまうようであれば、指弾きやピック弾きに切り替えるなど、楽曲に合った演奏を心がけることが大切です。
また、バンド内での役割を意識することも欠かせません。ベースはリズム隊の一部として、ドラムやギターと一緒に曲の土台を支える役割を持っています。スラップは音のアタックが強いため、バンド全体の音量バランスを崩してしまうことがあります。特に、ボーカルがいる曲では、ベースが前に出すぎると歌が聞こえにくくなるため、適度な音量調整が必要です。アンプやエフェクターの設定を見直し、ミックスの中でベースが適切な位置に収まるよう工夫しましょう。
さらに、スラップを使う場面を選ぶことが大切です。例えば、楽曲のイントロや間奏、サビのアクセントとして取り入れることで、スラップの特徴を活かしながらも過度な主張を避けることができます。また、指弾きやピック弾きと組み合わせて演奏することで、曲全体のダイナミクスを豊かにし、メリハリをつけることができます。
このように、スラップは強いインパクトを持つ奏法だからこそ、適切な場面で活用することが重要です。バンド全体のバランスを考えながら、楽曲に合った演奏を心がけることで、スラップの魅力を最大限に引き出すことができます。
サムピングがカチカチ鳴る原因と対処法
スラップ奏法の基本である「サムピング」を行う際、弦を叩いたときに「カチカチ」という金属音が目立ってしまうことがあります。この音は、スラップのアタック感を強調する要素の一つでもありますが、意図しないノイズとして発生すると、演奏全体のバランスが崩れてしまいます。ここでは、サムピングがカチカチ鳴ってしまう原因と、その対処法について解説します。
まず考えられる原因は、親指の当て方が適切でないことです。サムピングを行う際に、親指を弦に対して真っ直ぐに叩きつけると、弦とフレットが強くぶつかりすぎて「カチカチ」とした高い金属音が発生します。これを防ぐためには、親指の第一関節あたりを使い、弦に対して軽く斜めにヒットさせることがポイントです。また、親指を弦に当てたままにせず、弦を叩いた後にすぐに離すことで、不要なノイズを抑えることができます。
次に、弦高が低すぎることもカチカチ音の原因となります。弦高が極端に低い場合、サムピング時に弦がフレットにぶつかる頻度が増え、ノイズが発生しやすくなります。特に、低音弦は振動が大きいため、弦高が適切でないと金属音が目立ちやすくなります。適切な弦高に調整することで、不要なノイズを軽減できるため、楽器店で調整してもらうのも一つの方法です。
また、過度に力を入れて弦を叩いていることも、カチカチ音の原因になります。初心者は強く弾かないと音が出ないと考えがちですが、スラップは力を入れなくても適切なフォームで演奏すれば十分な音量が出ます。親指のスナップを意識し、軽いタッチで弦を叩くことで、ノイズを抑えつつ、クリアなサウンドを得ることができます。
さらに、ピックアップの高さが影響することもあるため、ピックアップの位置を調整することで、不要な金属音を軽減できる場合があります。特に、スラップ奏法では弦とピックアップが近すぎると、弦がピックアップにぶつかることでカチカチ音が発生することがあります。
これらのポイントを見直しながら、自分の演奏スタイルに合ったフォームを見つけることで、サムピング時の不要なカチカチ音を減らし、より洗練されたスラップサウンドを得ることができます。
スラップが目立つおすすめの楽曲
スラップ奏法は、そのアグレッシブな音色とリズミカルな演奏スタイルが特徴的で、特定の楽曲ではベースラインが際立ち、スラップが楽曲の個性を引き立てます。ここでは、スラップが目立つおすすめの楽曲をいくつか紹介し、練習にも活用できるポイントを解説します。
1.Chic – Good Times
ファンクの名曲として知られる「Chic – Good Times」は、スラップ奏法を学ぶうえで最適な楽曲の一つです。この曲では、リズミカルなベースラインが特徴的で、シンプルながらもグルーヴ感を生み出す演奏が求められます。スラップの基礎を固めるためにも、リズムを正確に刻むことを意識しながら練習すると良いでしょう。
2.Higher Ground
Red Hot Chili Peppersの「Higher Ground」もスラップが際立つ楽曲として有名です。この曲では、速いテンポでのスラップが求められ、ダイナミックな演奏が楽曲の魅力を引き立てています。スラップを安定して弾くためには、手首の柔軟性を意識しながら演奏することが重要です。
3.Automatic
日本の楽曲では、宇多田ヒカルの「Automatic」にもスラップを取り入れたベースラインが使用されています。スラップが楽曲の中でどのように活かされているのかを学ぶことができ、J-POPの中でのスラップの役割を知る良い例になります。
スラップ奏法は、ファンクやロック、さらにはJ-POPなど幅広いジャンルで活用されており、楽曲ごとに異なるスタイルのスラップが存在します。自分の好きな曲を見つけ、スラップの表現力を広げることで、より多彩な演奏ができるようになるでしょう。
スラップができると広がる演奏の可能性
スラップ奏法を習得することで、ベースの演奏の幅は大きく広がります。単なるリズムキープにとどまらず、よりアグレッシブで表現力豊かなプレイが可能になるため、さまざまな音楽ジャンルで活躍できるようになります。ここでは、スラップができることによって広がる演奏の可能性について解説します。
まず、ファンクやロックなどのジャンルで活躍できる場面が増えるというメリットがあります。スラップ奏法は特にファンク音楽と相性が良く、ベースが主導権を握るグルーヴィーな楽曲で頻繁に使用されます。また、ロックの分野でもRed Hot Chili Peppersのようなバンドがスラップを多用しており、ベースが前に出るスタイルの演奏を楽しむことができます。
次に、リズム感が向上し、グルーヴを意識した演奏ができるようになる点もスラップの大きな魅力です。スラップは弦を叩くサムピングと弦を引っ張るプルの動作を組み合わせるため、リズムの取り方が非常に重要になります。この奏法を習得することで、ベースラインにより強いグルーヴ感を持たせることができ、バンド演奏においてもよりダイナミックな表現が可能になります。
また、スラップの応用でベースラインに多様なアレンジを加えることができるようになります。スラップは単なる装飾的な奏法ではなく、楽曲の展開に合わせて強弱をつけたり、指弾きと組み合わせることでより豊かな音楽表現を生み出すことができます。特に、バンドの演奏中に即興でフレーズを作る場面でも、スラップを活用することで個性的なプレイを実現できます。
このように、スラップ奏法を習得することで、ベーシストとしての表現力や演奏の幅が大きく広がります。単なる技術の習得にとどまらず、バンドの中での役割を意識しながら演奏することで、より魅力的なプレイヤーとして成長できるでしょう。
スラップしやすいおすすめのベース5選
スラップ奏法を快適に演奏するためには、適したベースを選ぶことが重要です。ネックの形状や弦間ピッチ、ピックアップの配置などがスラップのしやすさに大きく影響します。ここでは、スラップ奏法に適したおすすめのベースを5本紹介します。
1. Fender Jazz Bass(フェンダー ジャズベース)
Fender Jazz Bass(通称ジャズベ)は、スラップベースの代表的なモデルの一つです。マーカス・ミラーをはじめ、多くのプロベーシストが愛用しており、クリアで抜けの良いサウンドが特徴です。
特に70年代モデルはリアピックアップがブリッジ寄りに配置されており、スラップ奏法でアタック感のある音を出しやすいです。ファンクやフュージョンを演奏する人には、最適な選択肢の一つです。
2. Music Man StingRay(ミュージックマン スティングレイ)
Music Man StingRayは、スラップ奏法に特化したパワフルなサウンドを持つベースです。フリー(Red Hot Chili Peppers)など、多くのロック系ベーシストに支持されています。
StingRayは、ジャズベースよりも太い音が特徴で、ロックやファンクの演奏で存在感を出したいベーシストにおすすめです。
3. Sadowsky Metroline(サドウスキー メトロライン)
Sadowskyは、Fender Jazz Bassの高級カスタムモデルのような位置付けで、ニューヨーク発のブランドです。プロの間でも評価が高く、日本製のMetrolineシリーズはコストパフォーマンスに優れています。
Fender Jazz Bassの進化系といえるモデルであり、ハイエンド志向のスラップベーシストにおすすめの一本です。
4. Yamaha BBシリーズ(ヤマハ BBシリーズ)
Yamaha BBシリーズは、世界中のミュージシャンに支持されている実力派ベースです。価格帯も幅広く、初心者からプロまで幅広く使用されています。
特にBB734AやBB735Aはアクティブ回路を搭載しており、スラップ奏法時の音作りがしやすくなっています。コストパフォーマンスの良いベースを探している人におすすめです。
5. Bacchus Handmade Series(バッカス ハンドメイドシリーズ)
Bacchusは日本のメーカーで、比較的リーズナブルな価格で高品質なベースを提供しています。特にHandmade Seriesは、スラップ奏法向けに設計されたモデルが多く、演奏のしやすさに定評があります。
価格帯も比較的手頃で、特に国産の高品質なベースを探している人には最適な選択肢です。
まとめ
スラップ奏法に適したベースは、ネックの薄さ、弦間ピッチの広さ、ピックアップの種類など、さまざまな要素によって決まります。
- クリアで抜けの良いサウンドが欲しいなら → Fender Jazz Bass
- 太くパワフルなサウンドを求めるなら → Music Man StingRay
- 高品質なサウンドと演奏性を重視するなら → Sadowsky Metroline
- コストパフォーマンスを重視しつつ、万能な音作りをしたいなら → Yamaha BBシリーズ
- 日本製の高品質なハンドメイドベースを選びたいなら → Bacchus Handmade Series
どのベースもスラップ奏法に向いた特性を持っているため、自分の好みや演奏スタイルに合った一本を選ぶことが大切です。実際に楽器店で試奏し、フィット感や音の特徴を確かめながら、自分に最適なスラップベースを見つけてみてください。
スラップできないベーシストが押さえるべきポイント
- スラップは親指のサムピングと指のプルを組み合わせた奏法
- 「スラップ」と「チョッパー」は同義だが、日本ではチョッパーという呼称も使われる
- スラップができない原因はフォーム、指の使い方、楽器のセッティング、リズム感、練習方法の5つに分類できる
- フォームが悪いとサムピングやプルの音が安定しない
- 弦の引っ掛け方や力加減を意識しないと、プルの音が弱くなる
- 弦高が高すぎるとスラップが弾きにくくなるため、適切なセッティングが重要
- リズム感を鍛えるためにメトロノームを活用すると効果的
- 練習は単音から始め、徐々にサムピングとプルを組み合わせていくのが良い
- スラップ奏法にはサムピング、プル、サムアップ、ロータリー、ダブルプルなどの種類がある
- バンド演奏ではスラップを多用しすぎると曲のバランスを崩す可能性がある
- サムピングがカチカチ鳴る原因は親指の角度や弦高、力加減にある
- スラップが際立つ楽曲を練習するとスラップのリズム感を身につけやすい
- スラップを習得すると演奏の表現力が広がり、多様なジャンルに対応できる
- スラップしやすいベースはネックの薄さ、弦間ピッチ、ピックアップ配置などが重要
- Fender Jazz BassやMusic Man StingRayなどはスラップに適した代表的なベースとして知られる