ギターのピックアップ構成にはさまざまな種類がありますが、その中でも「ストラトSSH」は、シングルコイルとハムバッカーを組み合わせた万能な仕様として人気があります。しかし「ダサい」と感じる人も少なくありません。見た目のバランスや音の統一感、伝統的なSSSとの違いなど、さまざまな要素が評価を分ける要因となっています。
また、HSHのようなモダンなギターと比べると、SSHはよりストラトらしいサウンドを維持しながらもロック向けの仕様になっているため、多くのギタリストにおすすめされるモデルです。しかし、デザインの不均一さや音のバランスの違和感から「ダサい」と思われることもあります。
本記事では、ストラトSSHの特徴やメリット・デメリット、そしてどのようなギタリストに向いているのかを詳しく解説していきます。SSHモデルを選ぶべきか悩んでいる人にとって、判断の参考になる情報をお届けします。
ストラトSSHがダサいと言われる理由とは
- ストラトSSHがダサいと思われる理由
- ストラトSSHとは?
- ストラトSSHのメリット
- ストラトSSHのデメリット
- ストラトにハムバッカーは邪道?
- ストラトSSHは万能?対応できるジャンルとは
ストラトSSHがダサいと思われる理由
ストラトSSHは、多くのギタリストにとって便利な仕様ですが、一部では「ダサい」と言われることがあります。その理由は、見た目のデザインの不均一さや、伝統的なストラトのイメージから外れている点、音のバランスに違和感を持つ人がいることなどが挙げられます。ここでは、SSHのストラトが「ダサい」と言われる主な理由を詳しく解説していきます。
1. デザインの不統一感が目立つ
SSHのストラトがダサいと感じられる最も大きな理由の一つが、ピックアップレイアウトのバランスの悪さです。従来のSSS(シングルコイル×3)のストラトキャスターは、3つのピックアップが均等に並び、デザインとしても統一感があります。しかし、SSHではリアピックアップだけがハムバッカーに変更されるため、サイズの違いによる見た目の不均一さが生じます。
特に、ピックガードの形状が不揃いになりがちで、リアハムバッカー部分だけ大きく切り抜かれていることに違和感を覚える人もいます。こうしたデザインのばらつきが「バランスが悪く、見た目が悪い」と感じる要因になっています。
2. ストラトの伝統的なイメージと異なる
ストラトキャスターは、1954年の登場以来、SSSピックアップの構成が標準とされてきました。特に、ヴィンテージ系のギターを好むプレイヤーにとって、ストラトといえばシングルコイル3基による独特のクリーントーンとハーフトーンサウンドが魅力です。そのため、リアにハムバッカーを搭載したSSH仕様のストラトは、「伝統を崩した改造ギター」と見なされがちです。
実際、クラシックロックやブルースなどのジャンルでは、ストラト本来のSSSサウンドが好まれる傾向にあり、SSHモデルは「ストラトの良さを損なっている」と感じる人もいます。特に、ヴィンテージモデルを愛する層からは、「フェンダー純正のストラトならSSSであるべき」と考える意見も少なくありません。
3. 音のバランスが不自然に感じられることがある
SSHストラトのメリットの一つは、リアのハムバッカーによるパワフルなサウンドですが、同時にこの構成が音のバランスの不均一さを生み出す要因にもなっています。シングルコイルとハムバッカーは、基本的な構造が異なるため、出力や音のキャラクターが大きく違います。そのため、ピックアップを切り替えた際に急激な音量変化やトーンの違和感を感じることがあります。
特に、SSSのストラトを使い慣れた人にとっては、リアハムバッカーの音が浮いて聞こえることが多く、「中途半端な仕様」として評価されることがあります。また、シングルコイルの特徴である「煌びやかさ」や「シャープなアタック感」がリアハムバッカーによって失われるため、「SSHはストラト本来の魅力を損なっている」と考える人もいます。
4. 汎用性の高さが「どっちつかず」に思われる
SSHは、クリーンから歪みまで幅広く対応できる万能ギターとして評価されることが多いですが、逆に「どの音にも特化していない」と捉えられることもあります。例えば、SSSならクリーンなカッティングやファンクに最適で、HSHならハードロックやメタルに適しています。しかし、SSHは「クリーンなカッティングにはハムバッカーが邪魔になる」「ハードロックではリア以外のシングルが弱い」といった評価を受けることがあり、ジャンル特化のギターと比べると中途半端に思われることがあります。
また「初心者向けの仕様」と見なされることもあります。楽器店やギター講師が「SSHは一本で何でもできる」と初心者向けに推奨することが多いため、経験を積んだギタリストの中には、「SSHは未熟なプレイヤー向けの仕様」と考える人もいるのです。このようなイメージが、「SSH=ダサい」という印象を持たれる要因の一つになっています。
5. コイルタップ機能の不完全さ
SSHモデルには、リアハムバッカーに「コイルタップ機能」を搭載しているものが多くあります。これは、ハムバッカーの片側のコイルのみを使用し、シングルコイルのようなサウンドを再現する仕組みです。しかし、コイルタップ時の音は、通常のシングルコイルに比べると出力が弱く、音の立ち上がりも異なるため、完全にシングルコイルの音を再現することはできません。
そのため、「コイルタップすればSSSのような音も出せる」と言われるものの、実際には「シングルコイルの音とは違う」というギャップが生まれます。この点を理解していない人が「SSHはどちらの音も完璧に出せる」と誤解すると、実際に弾いたときに期待と違う結果になり、「結局、どちらの音も中途半端」という印象を持たれることがあります。
まとめ
ストラトSSHがダサいと思われる理由には、見た目のバランスの悪さ、伝統的なストラトのイメージとの違い、音の不統一感などが関係しています。特に、ヴィンテージ系のギターを好む人や、ストラトのSSSサウンドにこだわる人にとっては、SSHは「改造ギター」「中途半端な仕様」と映ることがあるため「ダサい」と思われやすいのです。
ただし、実際にはSSHには大きなメリットもあり、ジャンルを問わず幅広いサウンドに対応できる点は、多くのギタリストにとって大きな利点となります。「ダサい」と思われるのは一部の意見であり、最終的には自分がどんな音を求め、どのような演奏をしたいのかを考えてギターを選ぶことが最も重要です。SSHの魅力を理解し、自分に合ったセッティングを見つけることで、より快適な演奏が可能になるでしょう。
ストラトSSHとは?
ストラトSSHとは、ストラトキャスターのピックアップ構成の一種で、フロントとセンターにシングルコイル、リアにハムバッカーを搭載したギターのことを指します。もともとストラトキャスターはシングルコイル3基(SSS)が基本の仕様ですが、ジャンルの多様化や演奏スタイルの変化に伴い、よりパワフルなサウンドを求めるプレイヤー向けにSSHが登場しました。
この構成の特徴として、シングルコイル特有のクリアで繊細な音色と、ハムバッカーの太く力強いサウンドを1本のギターで両立できる点が挙げられます。フロントとセンターのシングルコイルは、クリーントーンやカッティングプレイに適しており、煌びやかなサウンドを生み出します。一方で、リアのハムバッカーは出力が高く、歪みをしっかり乗せることができるため、ロックやハードロックのリードプレイにも対応可能です。
また、SSHレイアウトのギターの中には、リアのハムバッカーに「コイルタップ」機能を備えたものもあります。コイルタップを使うことで、ハムバッカーを疑似的にシングルコイルのような音にすることができ、より多彩な音作りが可能になります。ただし、コイルタップ時のシングルコイルの音は、純粋なシングルコイルとは異なり、ややパワーが落ちたり、音の抜けが弱く感じられることがあります。
このように、SSH構成のストラトキャスターは、クリーンから歪みまで幅広いサウンドを出せるため、多ジャンルを演奏するギタリストにとって便利な仕様です。しかし、シングルとハムバッカーの出力差や音色の統一感の問題があるため、適切なセッティングや演奏技術が求められるギターでもあります。
ストラトSSHのメリット
ストラトSSHは、幅広いジャンルに対応できる柔軟性と、多彩な音作りが可能な点で多くのギタリストに支持されています。シングルコイルの繊細な響きと、ハムバッカーのパワフルなサウンドを兼ね備えているため、一本のギターでさまざまなスタイルを演奏できるのが最大のメリットです。
まず、ストラトSSHの最大の強みは、クリーントーンと歪みの両方に適していることです。フロントとセンターのシングルコイルは、カッティングやアルペジオなどのクリアな音色を求める場面に適しており、ファンクやポップス、ブルースなどでよく活用されます。一方、リアのハムバッカーは出力が高く、歪ませても芯のある音を出せるため、ロックやハードロックのリードプレイに適しています。このように、シングルとハムバッカーの特性をバランスよく活かすことで、ジャンルを問わず演奏できる点がSSHの魅力です。
また、SSHのギターは、エフェクターやアンプの設定次第でさまざまな音色を作り出すことが可能です。例えば、リアのハムバッカーをコイルタップすることで、シングルコイルのような繊細な音を作ることもできます。これにより、SSSのストラトのようなサウンドにも近づけることができ、さらに汎用性が広がります。ただし、コイルタップによるシングルサウンドは、通常のシングルコイルと比べるとややパワーが落ちたり、音の立ち上がりが異なるため、その点を理解した上で使用する必要があります。
さらに、SSHのストラトは、バンド演奏においても非常に便利なギターです。バンド内でギターが1本しかない場合、SSHならばクリーンサウンドとディストーションサウンドを切り替えることで、幅広い楽曲に対応できます。特に、ポップスやロックなどの曲では、クリーンなアルペジオから歪んだソロパートまで、同じギターでスムーズにこなせるため、ライブやレコーディングでも重宝される仕様といえるでしょう。
このように、ストラトSSHはその汎用性の高さ、幅広いサウンドメイクの可能性、そしてジャンルを問わず活用できる点で、多くのギタリストにとって非常に魅力的な選択肢となっています。一本のギターでさまざまなスタイルを演奏したいと考えている人にとって、SSHは最適なモデルの一つといえるでしょう。
ストラトSSHのデメリット
ストラトSSHは万能なギターとして評価されることが多いですが、実際には特定のデメリットや音作りの難しさもあります。特に、シングルコイルとハムバッカーの組み合わせによる音量差や音質の違いが、扱いにくさにつながることが少なくありません。
まず、シングルコイルとハムバッカーの出力差による音量のバラつきが問題になりやすい点が挙げられます。シングルコイルは比較的出力が低く、繊細なニュアンスが出せるのに対し、ハムバッカーは出力が高く、力強いサウンドが特徴です。そのため、フロントやセンターのシングルコイルからリアのハムバッカーへ切り替えた際に、音量が急に大きくなることがあります。特にライブ演奏やレコーディングでは、この音量差を適切に調整しないと、音のバランスが崩れてしまうことがあります。
また、ポジションごとの音質の統一感が取りにくいという問題もあります。通常のSSSストラトであれば、すべてのピックアップがシングルコイルのため、切り替え時の音質変化が比較的自然です。しかし、SSHの場合、リアハムバッカーだけが異なる特性を持つため、フロントやセンターの音色と大きく変わることがあります。この結果、曲中でピックアップを切り替えたときに違和感が生じることがあり、細かい調整が求められます。
さらに、コイルタップ機能の限界もデメリットの一つです。リアのハムバッカーをコイルタップすることでシングルコイルのような音を作ることができますが、純粋なシングルコイルと比較するとややパワーが弱く、音のレスポンスも異なります。特に、シングル特有の「シャキッ」としたアタック感や、ハーフトーンの美しさが失われがちになるため、完全にSSSのストラトの音色を再現するのは難しいといえます。
このように、SSHのストラトは多機能な反面、音量差や音質の統一感を取るのが難しい点がデメリットといえます。しっかりとしたセッティングと演奏技術を身につけることで、これらの問題を解決することが求められるでしょう。
ストラトにハムバッカーは邪道?
ストラトキャスターにハムバッカーを搭載することについて、一部のギタリストの間では「邪道ではないか?」という意見が存在します。これは、ストラト本来の設計や伝統的なサウンドを重視する層からの見解であり、特にヴィンテージ系のファンやクラシックなフェンダートーンを好む人たちの間でよく聞かれる意見です。
ストラトキャスターは1954年にフェンダーから発売され、基本的には3基のシングルコイル(SSS)を搭載した設計が主流でした。シングルコイルならではの煌びやかで繊細なトーン、独特のハーフトーンサウンド、そしてファズやオーバードライブとの相性の良さがストラトの魅力の一つとされています。そのため、「ストラトにはシングルコイルが似合う」「リアハムバッカーはストラト本来の音ではない」と考える人がいるのも無理はありません。
しかし、70年代以降、音楽のジャンルが多様化し、よりパワフルなサウンドが求められるようになったことで、SSHのストラトが登場しました。特に、ハードロックやオルタナティブロックでは、シングルコイルでは出力が足りず、歪ませたときに音が細くなってしまうことが問題視されました。この課題を克服するため、ストラトのリアにハムバッカーを搭載するカスタムが一般的になり、現在ではフェンダー自身もSSHモデルを公式に販売するようになっています。
確かに、SSSのストラトと比べると、SSHはストラトらしい音とは少し異なる印象を与えるかもしれません。しかし、それは決して「邪道」というわけではなく、むしろプレイヤーの選択肢を広げる改良の一つとも言えます。そもそも、楽器の仕様は演奏する音楽ジャンルやプレイヤーの好みに応じて変化していくものです。ストラトにハムバッカーを搭載することで表現の幅が広がるのであれば、それは進化の一環と捉えるべきでしょう。
最終的には、ストラトにハムバッカーを搭載することが邪道かどうかは、プレイヤー自身の価値観によるところが大きいと言えます。伝統的なストラトサウンドを求めるのであればSSSを選び、幅広いジャンルに対応したいのであればSSHを選ぶという判断が、最も実用的な考え方でしょう。
ストラトSSHは万能?対応できるジャンルとは
ストラトSSHは、多くのジャンルに対応できる万能なギターと言われることが多いですが、実際にはメリットとデメリットの両面を持っています。確かに、クリーントーンの繊細さとハムバッカーの力強いサウンドを一台で兼ね備えているため、幅広い音楽スタイルに適応しやすいのは事実です。しかし、万能だからこそ、ジャンルごとのサウンドメイクに工夫が必要になることもあります。
例えば、SSHのストラトは、ポップス、ファンク、ブルース、ロック、ハードロックといったジャンルには非常に適しています。クリーンサウンドを多用するファンクやポップスでは、フロントやセンターのシングルコイルが生き、カッティングやアルペジオが美しく響きます。ブルースやロックでは、ハーフトーン(フロント+センター、センター+リア)を活用することで、独特の味わい深いサウンドを得ることが可能です。また、リアのハムバッカーを使うことで、パワフルなリードプレイや歪みを効かせたロックサウンドにも対応できます。
一方で、メタルやジャズのように特定のサウンドキャラクターが求められるジャンルでは、SSHが最適解とは言えない場合もあります。例えば、メタルでは、リアハムバッカーは有利ですが、通常のSSHではモダンなメタルサウンドに求められるほどのヘヴィな歪みには適さないケースがあります。ダウンチューニングや極端に高出力なハムバッカーを使う場合、HSHや2ハムバッカー構成(HH)のギターの方が適しているかもしれません。
また、ジャズの分野では、通常フロントハムバッカーの甘い音が求められることが多く、SSHのストラトではその独特なウォームなサウンドを完全に再現するのは難しいとされています。もちろん、アンプやエフェクターのセッティング次第ではある程度近づけることは可能ですが、専用のジャズギターと比較すると、ややドライで明るい音色になりがちです。
このように、SSHのストラトキャスターは幅広いジャンルに対応できる一方で、サウンドメイクや機材の工夫が求められるギターです。特定のジャンルに特化したギターには音作りの面で及ばない部分もあるため、万能という言葉を鵜呑みにせず、自分の演奏スタイルや求めるサウンドを考慮した上で選ぶことが大切です。
ストラトSSHはダサい?選び方と対策
- ストラトSSHの音量差問題を解決する方法
- ストラトのリアピックアップは使えない?
- SSSとの違い
- HSHとの違い
- ストラトSSHのおすすめモデル5選
ストラトSSHの音量差問題を解決する方法
ストラトSSHのギターを使う上で、多くのプレイヤーが直面するのが「音量差」の問題です。リアのハムバッカーは出力が高く、シングルコイルとの切り替え時に音量が大きく変わることがあり、演奏中にバランスを取るのが難しくなります。しかし、いくつかの方法を活用することで、この問題を解決することができます。
まず、ピックアップの高さを調整することが重要です。リアのハムバッカーの高さを少し下げ、逆にフロントとセンターのシングルコイルをやや上げることで、出力差を抑えることが可能です。この調整をするだけでも、ピックアップ間の音量差が改善され、よりスムーズな切り替えができるようになります。
次に、アンプやエフェクターの設定を工夫することも有効な方法の一つです。例えば、クリーンブースターを使用してシングルコイルの音量を底上げする、もしくはコンプレッサーをかけて音量のばらつきを均一にすることで、全体のバランスを整えることができます。また、イコライザー(EQ)を活用し、リアハムバッカーの音圧を抑えつつ、シングルコイルのミッドレンジを持ち上げることで、音量の差を感じにくくすることも可能です。
さらに、リアのハムバッカーの出力を抑えたピックアップに交換するという選択肢もあります。高出力なハムバッカーではなく、中出力~低出力のハムバッカーを搭載することで、シングルコイルとの音量差を最小限にすることができます。特に、SuhrやSeymour Duncanの低出力ハムバッカーは、SSHの音量バランスを改善するのに適しています。
このように、ピックアップの高さ調整、アンプ・エフェクターの設定、そしてピックアップの交換といった対策を組み合わせることで、ストラトSSHの音量差問題を効果的に解決することが可能です。
ストラトのリアピックアップは使えない?
ストラトキャスターのリアピックアップは、「使いにくい」と感じるギタリストが多いポイントの一つです。特にSSS(シングルコイル×3)のストラトでは、リアピックアップの音が「細い」「高音がキツい」「抜けすぎる」といった問題が指摘されることが少なくありません。実際、リアのシングルコイルは音の特性上、高音域が強調されやすく、歪ませると耳に刺さるような鋭いサウンドになりがちです。そのため、メタルやハードロックのように歪みを多用するジャンルでは、リアのシングルコイルではなく、ハムバッカーを搭載したSSHモデルが好まれることが多いです。
では、なぜリアピックアップの音は扱いにくいのでしょうか?その理由の一つは、ピックアップが配置されている位置にあります。リアピックアップは弦の振幅が最も小さいブリッジ側に取り付けられているため、音の太さ(中低音成分)が少なくなり、結果的に高音域が目立つ傾向にあります。また、シングルコイル自体が元々ワイドレンジで、音の輪郭がハッキリしているため、余計に高音のピークが強調されやすくなります。
しかし、リアピックアップが「使えない」わけではありません。むしろ、適切な調整や音作りを行えば、非常に効果的に活用できるのです。例えば、アンプの設定を調整し、ミドルや低音域を持ち上げることで、リアのシングルコイルの細さを補うことができます。また、リアピックアップに専用のトーンノブを追加することで、高音域を抑え、より扱いやすい音色にすることも可能です。加えて、ピッキングの位置をネック寄りにすることで、音のアタックを和らげ、柔らかいトーンを作ることもできます。
さらに、リアピックアップを活かせるジャンルも多くあります。特に、カッティングやファンク、ブルースでは、リアのシングルコイルのシャープなサウンドが生きる場面が多いです。また、クリーントーンで使う場合、リアピックアップの明るくクリアな音は、バンドの中でも埋もれにくく、存在感のあるサウンドを作るのに適しています。
つまり、リアのシングルコイルは「使えない」のではなく、「適切なセッティングや演奏技術が求められる」ピックアップであると言えます。リアピックアップの特性を理解し、音作りを工夫することで、より幅広い表現が可能になるでしょう。
SSSとの違い
ストラトキャスターのピックアップ構成には、SSS(シングルコイル×3)とSSH(シングル×2+ハムバッカー)の2種類がよく比較されます。どちらもストラトの形を持ちながら、サウンドの特性や演奏性が大きく異なります。ここでは、SSSとSSHの違いを音色と演奏性の観点から詳しく解説します。
1. 音色の違い
SSSのストラトは、3つのシングルコイルを搭載しており、全体的にワイドレンジで煌びやかな音が特徴です。クリーントーンでは透明感があり、カッティングやアルペジオなど繊細な演奏に向いています。特に、センター+フロント、センター+リアの「ハーフトーン」は、ストラトならではの軽快で爽やかなサウンドを生み出します。このため、ポップス、ブルース、カントリー、ファンクといったクリーンサウンドを活かすジャンルでよく使われます。
一方、SSHのストラトは、リアにハムバッカーを搭載することで、よりパワフルな音が得られます。特に、歪ませた際の音の太さや持続力がSSSと比べて向上するため、ロックやハードロックのリードプレイに向いています。クリーンではシングルコイルのクリアさを活かしつつ、リアを使うことで力強い歪みサウンドを出せるのがSSHの強みです。
2. 演奏性の違い
SSSのストラトは、ピックアップの出力が均一で音量差が少ないため、スムーズなポジションチェンジが可能です。また、ノイズが出やすいという弱点もありますが、その分、細かいニュアンスを表現しやすく、指やピックのタッチがダイレクトに音に反映されるというメリットもあります。
SSHは、リアハムバッカーの出力が高いため、ポジションごとに音量差が出やすいという点に注意が必要です。しかし、リアのハムバッカーによって音の太さが増し、ディストーションサウンドとの相性が良くなるため、ギター一本で多彩なジャンルに対応したい場合に適しています。
このように、SSSとSSHはそれぞれ得意とするジャンルや演奏スタイルが異なります。どちらが良いかは、演奏する音楽のスタイルや求めるサウンドによって選ぶべきでしょう。
HSHとの違い
SSHと並んで人気のあるピックアップ構成にHSH(ハムバッカー×2+シングルコイル×1)があります。両者は一見似た構成ですが、音色や演奏性の面で違いがあります。それでは、HSHとSSHの違いを比較しながら、どちらが使いやすいのかを見ていきましょう。
1. 音のバランスとキャラクター
SSHは、フロントとセンターにシングルコイル、リアにハムバッカーを搭載しているため、シングルコイルの繊細な音と、リアの力強い歪みサウンドをバランスよく使い分けることができます。ストラトの伝統的な音色をある程度維持しながらも、ロック向けのパワフルな音を出せるのが特徴です。
HSHの場合、フロントとリアがハムバッカーになり、センターにシングルコイルを搭載することで、よりモダンな音色になります。SSHと比べると、中音域が厚く、全体的にパワフルなサウンドを得ることができます。そのため、ハードロックやメタルなど、より歪みを多用するジャンルに適しています。
2. 演奏性の違い
SSHは、シングルとハムバッカーを組み合わせることで、比較的幅広いジャンルに対応しやすくなっています。一方、HSHは、リアとフロントのハムバッカーによって音が太くなる分、ストラト特有の軽快なシングルコイルサウンドはやや薄れてしまいます。
どちらが使いやすいかは、プレイヤーの好みによります。SSHはストラトらしいサウンドを残しつつロック向けの要素を取り入れたい人に向いています。一方、HSHはよりモダンで厚みのあるサウンドを求めるプレイヤーに適した構成です。
ストラトSSHのおすすめモデル5選
ストラトSSHは、多彩な音作りが可能で、幅広いジャンルに対応できるギターとして多くのプレイヤーに支持されています。しかし、SSH仕様のギターはブランドやモデルによって個性が異なり、どれを選ぶべきか迷うことも多いでしょう。そこで今回は、音質・演奏性・コストパフォーマンスの観点から、おすすめのSSHストラトを5本紹介します。
1. Fender American Professional II Stratocaster HSS
FenderのAmerican Professional II Stratocaster HSSは、クラシックなストラトのサウンドとモダンなプレイアビリティを兼ね備えたモデルです。リアに搭載されたV-Mod IIハムバッカーは、ヴィンテージ感を持ちつつもパワフルな出力が特徴で、クリーンから歪みまで幅広く対応できます。また、コイルタップ機能が付いているため、シングルコイルのような繊細なトーンも出せる点が魅力です。
さらに、新設計のDeep “C”シェイプネックが快適なグリップ感を提供し、長時間の演奏でも疲れにくい設計になっています。加えて、2点支持のトレモロブリッジを採用しており、スムーズなアーム操作と安定したチューニングが可能です。SSHのストラトを探している人にとって、最もバランスの取れた選択肢の一つと言えるでしょう。
おすすめポイント:
- コイルタップ付きV-Mod IIハムバッカーで柔軟なサウンド
- モダンなDeep “C”ネックによる高い演奏性
- 安定したトレモロシステムでアーミングが快適
2. Fender Player Stratocaster HSS
FenderのPlayerシリーズは、プロ仕様の品質を手頃な価格で提供する人気のシリーズです。このHSSモデルは、アルダーボディとPlayer Series Alnico Vピックアップを搭載し、Fenderらしい煌びやかなサウンドを維持しながらも、リアハムバッカーによる力強い歪みが得られる仕様になっています。
特に、クリーントーンが美しく、カッティングやアルペジオなどの繊細な演奏に向いている一方、ハムバッカーの太いサウンドを活かせばロックやハードロックのリードプレイにも対応可能です。SSHのストラトを初めて購入する人や、コストパフォーマンスを重視する人に最適な一本と言えます。
おすすめポイント:
- コスパ抜群のFender純正SSHモデル
- クリアなシングルトーンとパワフルなリアハム
- シンプルで扱いやすいコントロール系統
3. Ibanez AZ2204N
IbanezのAZシリーズは、モダンギタリスト向けに設計された高性能なギターです。SSH仕様のAZ2204Nは、ローステッドメイプルネックとSeymour Duncan® Fortunaピックアップを搭載し、抜群の演奏性と幅広いサウンドメイクを実現しています。
特に、リアハムバッカーは中出力ながらも音抜けが良く、適度なコンプレッション感を持っているため、ロックからジャズ、フュージョンまで幅広いジャンルに対応可能です。また、Gotoh製のT1802トレモロブリッジとMG-Tロッキングチューナーが搭載されており、チューニングの安定性が高く、ライブパフォーマンスでも安心して使用できます。
おすすめポイント:
- ローステッドメイプルネックで優れた耐久性と演奏性
- Seymour Duncan® Fortunaピックアップによるクリアな音質
- 高品質なハードウェアでチューニングの安定性が抜群
4. YAMAHA Pacifica 612VII FM
YAMAHAのPacificaシリーズは、SSHストラトの中でもコストパフォーマンスの高さで人気があります。PAC612VII FMは、Seymour Duncan製のピックアップを搭載し、リアにはCustom 5ハムバッカーを採用。クリーンと歪みの両方でバランスの取れた音を出せるのが特徴です。
また、Wilkinson製のトレモロブリッジを採用しており、滑らかなアーミングとチューニングの安定性が確保されています。SSHのストラトを探している人の中でも、「コスパの良い実用的なギターが欲しい」という人にとって、非常に魅力的な選択肢となるでしょう。
おすすめポイント:
- Seymour Duncanピックアップ搭載で高品質なサウンド
- Wilkinsonブリッジによる安定したピッチとスムーズな操作
- 価格と性能のバランスが優れたモデル
5. Suhr Classic S Antique HSS
Suhrは、カスタムギターの分野でトップクラスの評価を受けるブランドの一つです。その中でもClassic S Antique HSSは、SSHストラトの最高峰とも言えるモデルです。搭載されたSSVハムバッカーは、ビンテージ感のある暖かいトーンを持ちながらも、モダンな演奏にも対応できるバランスの良いサウンドが特徴です。
また、Suhr独自のSilent Single-Coil System(SSCII)を搭載しており、シングルコイルのノイズを大幅に低減する設計になっています。さらに、Gotoh 510ブリッジとロッキングペグによって、チューニングの安定性も抜群です。本格的なSSHストラトを求めるプレイヤーにとって、最適な一本と言えるでしょう。
おすすめポイント:
- SSVハムバッカーで太くウォームなトーンを実現
- SSCIIシステムでシングルコイルのノイズを低減
- 高品質なパーツと圧倒的なプレイアビリティ
SSHストラトは、万能なギターとして多くのプレイヤーに選ばれていますが、モデルによって特徴が異なります。Fender American Professional IIのような王道のFenderサウンドを持つものから、Ibanez AZ2204NやSuhr Classic S Antiqueのようなモダン仕様のものまで、選択肢は多岐にわたります。
どのモデルを選ぶかは、自分の演奏スタイルや好みによりますが、今回紹介した5本はSSHストラトを選ぶ上で優れた選択肢となるでしょう。自分に合った一本を見つけ、理想のサウンドを追求してみてください。
ストラトSSHがダサいと言われる理由と実際の評価
- SSHのストラトは、ピックアップの配置が不均一でデザインに違和感がある
- 伝統的なSSSストラトのイメージから外れるため、クラシック派に敬遠されがち
- シングルコイルとハムバッカーの出力差が大きく、音量バランスが取りづらい
- シングルコイルの煌びやかさとハムバッカーの太さが両立しづらい
- 汎用性が高いが、どのジャンルにも特化しにくいと感じるプレイヤーもいる
- 初心者向けの仕様と見られることがあり、上級者から軽視されることがある
- コイルタップ機能の音質が完全なシングルコイルには及ばない
- リアのハムバッカーが太く出力が高いため、全体の音の統一感が難しい
- フェンダー純正モデルでもSSH仕様は後発のため、オリジナル感が薄い
- 伝統的なロックやブルースではSSS構成の方が適していると考えられている
- 音作りに工夫が必要で、セッティング次第で扱いやすさが変わる
- HSH構成と比較すると、より中途半端に思われやすい
- ピックガードの形状が崩れ、ビジュアル面で不満を持つ人もいる
- リアピックアップのハムバッカーが過剰に主張し、音が浮いて聞こえることがある
- 実際にはSSHのストラトを愛用するプロも多く、万能ギターとしての評価も高い