せっかく練習していざスタジオに入ったら、ギターの音作りでこもる現象に悩まされた経験はありませんか。
アンプのツマミをいじっても改善せず、自分のギターの音がバンドの中で埋もれてしまうのは本当にストレスですよね。
実はその原因、アンプの設定だけではなくシールドやギター本体の調整にあるかもしれません。
ギターの音作りでこもる原因を徹底解剖
「音が悪い」と一言で言っても、その原因は様々です。まずは、なぜあなたのギターサウンドがスッキリしないのか、機材や物理的な側面から「こもり」の正体を解き明かしていきましょう。
シールドの長さや質で高音が劣化する
意外と見落としがちなのが、ギターとアンプを繋ぐ「シールドケーブル」の影響です。実はシールドには、電気的に「コンデンサ」と同じような性質があり、これによって高音域が削られてしまう現象が起こります。
これを「ハイ落ち」と呼ぶのですが、シールドが長ければ長いほど、また品質(静電容量)によって、高音の劣化具合が変わってくるのです。例えば、ライブで動き回るために長いシールドを使っていると、それだけでトーンノブを絞ったような音になっている可能性があります。
| ブランド / 傾向 | 音の特性 |
|---|---|
| George L’s | 非常にクリアで高域が落ちない |
| Mogami 2524 | バランスが良く、標準的なサウンド |
| Belden 8412 | 中低域が太いが、高域は削れやすい |
| Canare GS-6 | ウォームな音色で、少しこもりやすい |
「音がこもる」と感じているなら、まずはシールドを3メートル程度の短めのものにするか、Mogamiなどのすっきりした特性のものに変えてみるのが手っ取り早い解決策です。
エフェクターやバッファーの接続順序
エフェクターボードを組んでいる方は、接続順序も重要です。特に「トゥルーバイパス」のエフェクターだけで組んでいると、ケーブルの総延長が長くなり、結果として高域が劣化してしまいます。
ここで役立つのが「バッファー」です。バッファーを一番最初(ギターの直後)に繋ぐことで、信号を強くし、その後のケーブルによる劣化を防ぐことができます。
ただし、古いファズ(Fuzz Faceなど)を使う場合は要注意です。ファズの前にバッファーを置くと、音がキンキンになったり、逆に変に詰まったりします。「ギター → ファズ → バッファー」の順番を守りましょう。
ピックアップの高さ調整で解消する
「音が小さいと迫力がない」と思って、ピックアップを弦に近づけすぎていませんか?実はこれ、こもりの大きな原因の一つなんです。
ピックアップが近すぎると、磁力が弦の振動を邪魔してサスティンがなくなり、低音がブーミーになって音が潰れてしまいます。逆に少し遠ざける(高さを下げる)ことで、アコースティックでクリアな響きが戻ってきます。
目安としては、最終フレットを押さえた状態で、ポールピースと弦の間隔を2.0mm〜3.0mm程度に調整してみてください。特にフロントピックアップの低音弦側を下げると、スッキリしますよ。
弦の種類や劣化が音抜けに与える影響
基本中の基本ですが、弦の状態はサウンドに直結します。古くなって手垢がついた弦は「死んだ弦」と呼ばれ、高音の倍音が全く出なくなります。テクニックや機材でどうにかする前に、まずは弦交換をしましょう。
また、弦の素材にも注目です。「ヴィンテージ系」として売られている「純ニッケル弦」は、最初から角が取れた丸い音がします。モダンなロックで抜けを良くしたいなら、一般的な「ニッケルメッキ(Nickel Plated)」の弦を選ぶのが無難ですね。
電子パーツの抵抗値設定を見直す
少しマニアックな話になりますが、ギター内部のボリュームポットの抵抗値も関係しています。一般的にハムバッカーには500kΩが使われますが、これが誤って250kΩになっていると音がこもります。
もっと抜けを良くしたい場合は、あえて1MΩ(1000kΩ)のポットに変えたり、トーン回路をバイパスする「ノーロード・ポット」を使ったりするのも一つの手です。
ギターの音作りでこもる問題を改善する
原因がわかったところで、次はスタジオやライブハウスですぐに実践できる具体的な改善テクニックを見ていきましょう。新しい機材を買わなくても、設定や弾き方ひとつで音は劇的に変わります。
アンプのイコライザー設定で濁りを取る
アンプのイコライザーをいじる時、音がこもっているからといって、むやみにTreble(高域)ばかり上げていませんか?実は、「引く」発想が大切なんです。
音の濁りやこもりを生んでいるのは、主に200Hz〜500Hzあたりの「ローミッド」と呼ばれる帯域です。BassやMiddleを少し下げることで、このモコモコした部分をスッキリさせることができます。
コツは、2kHz〜4kHzあたりの「プレゼンス(Presence)」や「トレブル(Treble)」を上げつつ、低域(Bass)は思い切ってカットすること。特にバンドの中では、低音はベースにお任せしてしまった方が、ギターの音は前に飛んできます。
JC-120で音がこもる時の対処法
日本のスタジオならどこにでもある「ジャズコ(Roland JC-120)」。クリーンで素直なアンプですが、設定次第ではこもって聞こえることもあります。
私がよくやる対策は以下の通りです。
- BRI(ブライト)スイッチをONにする: これだけでかなりパキッとした音になります。
- Bassを削る: JC-120の低音はふくよかなので、0〜2くらいまで下げても十分です。
- アンプを傾ける: 足元で鳴らしていると高音が耳に届きません。アンプの前にスタンドを置くか、少し傾けて自分の方に向けると、本来の音がモニターできます。
ピッキングのアングルで倍音を増やす
機材の設定も大事ですが、最終的な音のキャラクターを決めるのはあなたの指先です。ピックを弦に対して平行に当てると、太くて丸い音になりますが、歪ませるとこもりやすくなります。
そこで、ピックを少し斜めに当てる「順アングル」や「逆アングル」を試してみてください。弦を「擦る」ようなジャリッとした成分(倍音)が加わり、エッジの効いた抜ける音に変化します。
不要な共振を消すミュートテクニック
「なんだか音が汚い」と感じる時、弾いていない弦が勝手に鳴っていませんか?特に低音弦の開放弦が「ブーン」と鳴っていると、サウンド全体が濁ってしまいます。
左手の空いている指や、右手の側面(パーム)を使って、鳴らさない弦をしっかりミュートする。これだけで音の輪郭がくっきりして、プロのようなタイトなサウンドに近づきます。
バンドアンサンブルで埋もれないコツ
自宅で一人で弾いている時の「気持ちいい音」と、バンドで「抜ける音」は別物です。一人だと低音が豊かで高音が痛くない音が心地よいですが、それをバンドに持ち込むと、ベースと被ってこもる原因になります。
「一人で弾くとちょっと音がスカスカで、高音がジャリジャリするかな?」と思うくらいの音が、バンドに入るとちょうど良く聞こえることが多いです。これを「引き算の音作り」と言います。
ギターの音作りでこもる悩みの解決策
ギターの音がこもる原因は、シールドの静電容量からピックアップの高さ、アンプのEQ設定、そして演奏時のタッチまで多岐にわたります。
一度に全部を変える必要はありません。「まずはシールドを変えてみる」「次はピックアップを少し下げてみる」といったように、一つずつ試してみてください。こもりのないクリアな音が出せれば、演奏のニュアンスもしっかり伝わるようになり、ギターを弾くのがもっと楽しくなるはずです。
